【京大附属病院とメディセオなど】医療機関と薬局を結ぶトレーシングレポートサービスを共同開発

【京大附属病院とメディセオなど】医療機関と薬局を結ぶトレーシングレポートサービスを共同開発

【2023.03.22配信】京都大学医学部附属病院、株式会社ファインデックスと株式会社メディパルホールディングスの連結子会社である株式会社メディセオは、医療機関と近隣の薬局とのトレーシングレポートを連携するクラウドサービス「AAdE-Report(Adherence and adverse drug event report)」を共同開発(株式会社メディセオは共同開発をサポート)し、2023 年 3 月 13 日より運用を開始したと公表した。


「電子処方箋の運用に関する公的なプロジェクトとも歩調を合わせながら、医療機関や薬局における業務運用の簡素化を目指す」

 共同開発した「AAdE-Report」(Adherence and adverse drug event report)は、これまで医療機関や薬局が処理に困っていた紙媒体のトレーシングレポートを、各施設で電子的に管理できるようにするサービス。同サービスは Google Cloud の東京リージョン環境で動いている。同サービスを利用することで、トレーシングレポートを送受する薬剤師の業務の効率化のみならず、服薬状況などの患者情報がオンラインで共有され、医師は次回以降の診察時にそれらを効果的に役立てることができるとしている。開発者は、「このような取り組みは、地域包括ケア社会における医療機関と薬局の連携をより強めることに繋がり、安全で安心な医療コミュニティの構築に貢献できるものと考えています」とする。

AAdE-Report 製品概要:https://findex.co.jp/products/medical/aade-report/index.html

 開発した3者は、政府が「医療 DX 令和ビジョン 2030」を策定するなど医療分野の DX が厚生労働省の主導で進めていくことが決定されたとし、これを受け、オンライン資格確認や電子処方箋の利用など、事業者を交えた様々な取り組みが活発化していると説明。AAdE-Report は、株式会社ファインデックスが提供する、医療機関と患者のコミュニケーションツール「Medical Avenue」との連携を 2023 年度中を目途に予定しており、医療機関・薬局・患者の3者間における、効率的な情報共有を推進するとともに、2023 年 1 月から運用が開始された電子処方箋の運用に関する公的なプロジェクトとも歩調を合わせながら、医療機関や薬局における業務運用の簡素化を目指していくとしている。

 なお、トレーシングレポートとは、薬剤師が患者からヒアリングした情報のうち「緊急性は低いものの、処方医に伝える必要がある」と判断した内容を、次回の処方のために医師へ伝達するための文書であり、服薬情報提供書とも呼ばれる。3者では、トレーシングレポートについて、「医薬分業の中で限られていた医療機関と薬局の情報共有を推進する手段として、今日に至るまで大きな役割を果たしている」とし、一方で、「医療機関と薬局との間でなされるコミュニケーションは、現在も FAX や電話を使ったやり取りが中心であり、処方医と薬剤師の電子的な情報連携は非常に困難だった」とクラウド化の意義を指摘している。

この記事のライター

関連するキーワード


トレーシングレポート

最新の投稿


【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【石川県薬剤師会】モバイルファーマシー「お披露目式」/スターリンクを搭載でDX対応

【2025.10.31配信】石川県薬剤師会は10月31日、モバイルファーマシーお披露目式を開催した。


【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【東京都・厚労省】11月24日に「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日に定例会見を開き、令和7年11月24日(月曜日・祝日)13時30分から15時45分まで、令和7年度「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動東京大会」を開催することを説明した。今年は2年に一度の厚労省との共催年で、広い層に関心を持ってもらうため、多彩なタレントを招聘している。


【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【東京都薬務課】試買で指定薬物検出/前年9品目増の11物品から

【2025.10.29配信】東京都薬務課は10月29日、定例会見を開き、試買検査によって11物品から危険ドラッグを検出したことを説明した。9月29日に公表済み。前回公表の昨年11月の検査結果では2物品からの検出であり、薬務課では「11物品からの検出は多く驚いている」としている。今回の結果を受け、今後の試買を適切に行っていく方針。


【敷地内薬局】日医委員、診療所除外規定「削除も含めて検討すべき」/中医協

【敷地内薬局】日医委員、診療所除外規定「削除も含めて検討すべき」/中医協

【2025.10.24配信】厚生労働省は10月24日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「敷地内薬局」を個別事項として議論した。敷地内薬局を巡っては、令和2年度診療報酬改定において従来から存在する医療モールへの配慮として、「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」で除外規定が設けられていた。しかし昨今、特別な関係のある病院の敷地内にある保険薬局の同一建物に、別途診療所を誘致することで、ただし書きにより、特別調剤基本料Aの対象となることを回避する薬局事例などが問題になっていた。この問題に関連し、日本医師会委員は「ただし書きの削除も含めて検討すべき」と述べた。


【敷地内薬局】日薬「グループ減算含め検討を」/中医協

【敷地内薬局】日薬「グループ減算含め検討を」/中医協

【2025.10.24配信】厚生労働省は10月24日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、「敷地内薬局」を個別事項として議論した。この中で日本薬剤師会(日薬)副会長の森昌平氏は前回改定で答申書付帯意見に落ち着いた敷地内薬局の“グループ減算”について、「敷地内薬局問題の改善が見えないのであればこのグループ減算も含め、あらゆる措置を引き続き検討していく必要があると考える」と述べた。


ランキング


>>総合人気ランキング