【日本薬剤師会政策提言2022】「地域における薬局機能の必要量」織り込み整備計画を推進/「地域医薬品提供計画」

【日本薬剤師会政策提言2022】「地域における薬局機能の必要量」織り込み整備計画を推進/「地域医薬品提供計画」

【2022.05.30配信】日本薬剤師会はこのほど、「日本薬剤師会政策提言2022」を公表した。その中で、昨年の政策提言でも掲げていた「地域医薬品提供計画」を提言の一番最初に位置づけ、「各都道府県が、地域医療計画に連動した地域医薬品提供計画の策定を行い、薬剤師・薬局が多職種と連携して、その機能を十分発揮することで、地域住民の医薬品アクセスを確保し、 安全・安心な医薬品提供システムを確立する方策を構築すべき」とした。「地域における薬局機能の必要量」を推計することなどにより整備計画を推進するとしている。


 「日本薬剤師会政策提言2022」で以下のように記載した。

■地域医薬品提供計画の策定によ 地域住民の医薬品アクセスの改善

■地域医薬品提供計画の策定
 地域包括ケアシステム、地域完結型医療を構築するために、各都道府県が、地域医 療計画に連動した「地域医薬品提供計画」の策定を行い、薬剤師・薬局が多職種と 連携して、その機能を十分発揮することで、地域住民の医薬品アクセスを確保し、 安全・安心な医薬品提供システムを確立する方策を構築すべきである。

■地域医薬品提供計画に盛り込むべき内容
1 当該地域において求められる薬局等の有する機能(かかりつけ機能、健康サポート機能、高度薬学管理機能など)とその地域における必要量の標準を推計
2 休日・夜間時の対応を含め医療提供施設間の連携内容の明確化とその推進方策
3 薬剤師・薬局等が不足している地域(へき地・離島を含む)においては、薬局の整 備や薬剤師の確保、偏在等の解消に向けた財政支援を含む施策と体制の構築
4 地域の課題、住民ニーズの把握を行い、地域住民への薬局機能等の周知や医薬 品を適切に使用するリテラシー向上のための方策
5 災害時など有事における医薬品提供体制の構築 など

■なぜ、地域医薬品提供計画の策定が必要か?
 「医と薬」の関係で語られてきた「医薬分業の推進」から脱却し、医薬品等の提供を通じて、地域社会における多職種連携の下で、薬剤師サービスの提供を目指すべきである。 そのためには、「地域医薬品提供計画の策定」が不可欠!
 
 全ての国民が、薬剤師サービスをもれなく享受できる環境を整備すべき。

 そのためには、法律に基づく公的な計画が必要。それがなければ、地方行政は動けない。
(注)薬剤師サービスとは: 薬剤師法や薬機法及び社会が求める薬剤師・薬局活動の総称

■ 地域医薬品提供計画の整備に向けて(第一歩)
・ 薬剤師・薬局は、患者が必要とする医薬品を「何時でも、何処でも、 誰にでも」過不足なく提供する責任を負っている。
・ 薬剤師・薬局は、地域の患者・住民の安全で安心な暮らしを支えるため、地域包括ケアシステムの中で、医薬品のみならず医療材料・衛生 材料の提供体制を担うことも求められている。
・ こうした期待に即応できるよう、薬局間のみならず、超高齢社会に欠か せない医療・医薬・介護における多職種・多施設の連携が推進されるよ う、積極的に既存制度の活用も図るべきである。
・ そのため、当該地域で果たしている薬局機能やその分布を「見える化」 し、その状況を基に、地域における薬局機能の充実方策や整備計画を 推進する。

■セルフケア・セルフメディケーションの推進
薬局の健康サポート機能の充実・強化
 健康サポート薬局の研修を修了した薬剤師は全国で3万人以上存在しているものの、健康サポート薬局に係る届出は未だ全国で3千施設弱であり、健康サポート薬局の認知度は、十分 とは言えない状況にある。また、国民の安全を守るためには、医療用医薬品と一般用医薬品 (OTC医薬品)双方の服薬情報を一元的に把握、フォローし、双方をバランスよく使用していく ことが必要である。
 人生100年時代を目前に、国民の健康寿命の延伸は国家的な課題であることを踏まえ、薬局 の健康サポート機能をより充実させ、健康サポート薬局の届出数の増加を図るとともに、薬局と 保険者とが連携できる仕組み作りなど、セルフケア/セルフメディケーションを推進するため、OTC 医薬品の使用促進に係る数値目標の設定と行うべき対策を整理し、OTC医薬品をより効果 的に利用できるようにすべきである。

■医療計画と医薬品提供計画 ※医療計画と医薬品提供計画 医薬品提供計画に盛り込む内容のイメージ
(下表の通り)

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