慶應義塾大学薬学部医薬品情報学講座と薬局団体連絡協議会の共同で、「保険薬局における薬剤師による患者フォローアップの実態調査」を実施した。実態の可視化や好事例の横展開を目的としたもの。
薬団連に加盟している4団体(次世代薬局研究会2025、日本コミュニティファーマシー協会、保険薬局経営者連合会、地域医療薬学研究会)の法人会員が運営する薬局(各店舗から薬剤師1名)が回答。調査実施期間は2021年8月12日〜2021年9月7日で、318薬局が回答した。
その結果、薬局内で服薬フォローアップの実施判断について相談した経験があるのは81.1%だった。
実際の実施判断については、「担当した薬剤師が個人で判断」が89.9%と高かった。日本薬剤師会の手引きを参考に判断するとの回答も26.7%あった。
また、要指導医薬品・一般用医薬品のフォローアップを行うことがあるかとの問いでは、「ある」が17.9%だった。
フォローアップを薬機法の義務化後に実施した経験では、「ある」が89.0 %という結果だった。
フォローアップを行っている患者数では、最大が「1〜10人」。回答した274薬局のうち、120薬局以上が「1〜10人」と回答していた。次いで多かったのは「11〜20人」で約40薬局が回答。ただ、患者数ではばらつきが多く「101人以上」との回答もあった。
「実際にフォローアップを行ったことがある患者像」では、「新規処方や処方変更があった患者」(用法用量の変更など)が76.2%。「副作用リスクが懸念される患者」(ハイリスク薬服用者など)が66.0%、「薬の服用・使用に不安を感じている患者」61.9%、「服用・使用方法が特殊な薬剤が処方された患者」55.9%、「アドヒアランスが不良な患者」46.0%などとなった。
自由記述の「フォローアップ事例」では265件が寄せられた。
フォローアップの際に、インスリンが投与されていないことが分かったり、新たに他院からの処方薬があり飲み合わせの確認ができたり、ワクチンとの兼ね合いを気にして自己判断で服薬を中止していることがわかったりしたという。
事例については、今後、さらに解析を進めたいとした。
「フォローアップによる結果」については、「医療機関との連携」が64.0%、「プレアボイド」(副作用の早期発見など)が24.0%、「患者・医療機関との信頼形成」21.0%などとなった。
「フォローアップの実施度評価」では、「だいたいできている」が26%、「どちらともいえない」が20%、「あまりできていない」が44%、「まったくできていない」9%、「十分にできている」1%だった。
「フォローアップ」の手段では、電話が98.9%と最も多く、LINE以外のアプリが9.9%、LINEは3.5%だった(複数回答)。
「フォローアップに至らない理由と改善方法」では、「電話によるフォローアップの難しさ」(36%)が挙げられ、患者の忙しい時間でも可能なアプリの普及が期待されるとされた。「患者の拒否や信頼不足」(34%)も課題に挙げられ、「周知・広報」や「患者とのコミュニケーション向上」が改善策として指摘された。「薬剤師自身の課題(力量不足等)」(14%)との回答もあり、「事例の共有や基準の策定」が必要との意見もあったという。
【服薬フォローアップ薬局実態調査】フォロー経験率は89.0%/慶應義塾大学薬学部と薬団連の共同調査
【2021.09.26配信】薬局団体連絡協議会(薬団連)は9月26日、「第3回 国民のための薬局のあり方シンポジウム」を開催した。その中で、薬団連と慶應義塾大学薬学部医薬品情報学講座が共同で行った「保険薬局における患者フォローアップの実態調査」の結果を報告した。
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