【診療報酬改定】「今こそリフィル処方箋実現の時」池田俊也教授が提言【国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授】

【診療報酬改定】「今こそリフィル処方箋実現の時」池田俊也教授が提言【国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授】

【2021.08.30配信】日本コミュニティファーマシー協会は8月29日に、「第8回コミュニティファーマシーフォーラム」を開催。特別講演した国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授の池田俊也氏は、議論されている診療報酬改定に触れ、「患者の利便性、医師の働き方改革、薬局薬剤師の職能拡大を考えば、今こそリフィル処方箋実現の時だ」と強調した。同氏は中医協で診療報酬調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会の委員などを務めているが、外来や薬局関連は担当外であるため私見を述べたもの。


 池田俊也教授は、「ヘルスケア・デザイン. 日本の医療が抱える課題と今後の医療政策」と題して特別講演した。

 この中で現在進んでいる診療報酬改定・調剤報酬改定において特に注目している課題として、「リフィル処方箋」と「地域フォーミュラリ」の2つを挙げた。

 リフィル処方箋については「数年前にも議論になったが慎重な意見があり見送りになった。ただ、今は医師の働き方改革の議論も進んでおり、タスクシフティングや薬局薬剤師の職能拡大の問題、患者の利便性を考えても、今こそ実現すべき時だ」と強調した。

 さらに、地域フォーミュラリへの期待感も示し、「地域における薬物療法の標準化につながるもので、今後、診療報酬上でも評価されるべき」と述べた。フォーラムの視聴者から「日本でも薬価収載に費用対効果が用いられるようになるのか」「日本で医師との共同薬物治療はどのような仕組みで進むか」などの質問が出ると、池田氏は「その双方の解決がもしかしたら地域フォーミュラリになるのではないかと思っている」と述べた。

 さらに池田氏は、薬局や薬剤師の数が多いとの指摘があることに対して、「数が多いことが問題なのではなく、数のある薬局・薬剤師にどのような機能を持ってもらうのかが重要」との見解を示した。
 その機能に関しては、「健康サポート薬局機能に期待している」とし、「患者自身がつけているウエアラブルなどからの情報を含めたパーソナルヘルスレコードを薬局が収集し健康サポート機能に活かす姿が当たり前の姿になるべきだ」と話した。

 視聴者から「健康サポート機能への評価がない」との意見が出ると、池田氏は「診療報酬上はかなり工夫がいると思う。例えば薬歴管理の評価などの一部として手厚くするなどはあり得るのではないか。あるいはカナダでは検査値などが改善した場合に医師にボーナス的な報酬が支払われるが、これを医師と薬局でタッグを組む形で報酬にすることなどのアイデアはあるのではないか」と指摘した。

 池田氏は、「地域包括ケアの中で、最も身近な医療提供施設である薬局の重要性はますます高まっている」とし、地域連携薬局や健康サポート薬局がますます増えていくことに「非常に期待している」とした。

 

特別講演した国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授の池田俊也氏

開会の挨拶をした日本コミュニティファーマシー協会代表理事の吉岡ゆうこ氏

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