【緊急避妊薬と薬局】八戸薬剤師会が在庫している薬局の情報発信へ/薬経連を介して広がりも期待

【緊急避妊薬と薬局】八戸薬剤師会が在庫している薬局の情報発信へ/薬経連を介して広がりも期待

【2021.07.12配信】八戸薬剤師会は緊急避妊薬に関して、在庫している会員薬局の情報を薬剤師会のホームページに掲載していく方針を固めた。八戸薬剤師会会長の山田文義氏が保険薬局経営者連合会(薬経連)の理事を務めており、薬経連会長の山村真一氏の呼びかけも取り組み開始の契機の一つだった。今後、薬経連を介して、他の地域への広がりも期待される。


 
 緊急避妊薬の問題に関しては、薬経連会長の山村真一氏が「何か薬局から行動を起こさなくては」との危機感を抱いており、当メディアに対しても、「具体的なアクションプランを薬局側から示していきたい」との考えを示すとともに、「市単位での取り組みが有効ではないか」とのアイデアを示していた。
https://www.dgs-on-line.com/articles/981

 山村会長は地域薬剤師会で会長などの要職を務める理事などのメンバーに、自らの考えを提示し、オンライン等で意見交換を重ねてきた。
 こうした呼びかけに応え、行動を起こし始めたのが八戸薬剤師会だった。

 八戸薬剤師会会長の山田文義氏(薬経連理事)は、八戸薬剤師会のホームページで緊急避妊薬を在庫している薬局リストを開示し、地域に情報発信していくことに関して、役員会でおおむね了承されたとする。
 今後、どのような情報をホームページに開示していくか検討を重ねるという。

緊急避妊薬の調剤に対応可能な薬局のリストに関しては、厚労省も研修修了者の情報収集とともに、ホームページで対応薬局のリストを掲載しているほか、民間サービス事業者やNPO法人、あるいはチェーン薬局企業などが対応可能薬局に関して情報発信している。
それぞれが労力をかけて何とか情報を発信していこうとしている最中ではあるが、課題もある。
厚労省のホームページでは研修修了薬剤師が9000人を超える中、更新作業に多大な労力がかかることが挙げられる。民間サービス事業者のホームページでは、営業色が強くなってしまう可能性も否定できない。NPO法人ではあくまで活動に参加・賛同している薬局の情報しか集まらない。薬局チェーン企業のサイトでは、その企業の店舗の情報しか分からない。

こうした課題もある中で、地域薬剤師会からの情報発信は、地域での取り組みの一環の中で地域住民が情報に触れられる機会を増やすことにつながると考えられる。そのほかにも情報を介した地域の人へのエンパワーメントにもつながるほか、地域のネットワークにつなげられる利点も生かせそうだ。

 また、こうした取り組みの検討の前に、八戸薬剤師会では、会員の意識調査を行った。
 
 会員の意識の収集に関わった八戸薬剤師会専務理事の阿達昌亮氏は、「会員の中には慎重論もあるが、いろいろな意見があることも仕方がないと思っている。一方で、すべてではないにしても、全体としては“薬剤師が取り組んでいかないといけない”という意識を持っている会員が多かった」と話す。「中には、『社会インフラである薬局は取り扱うべきだ』という明確な意見を示す会員もおり、私自身、取り組みの背中を押された」と話す。

 意見交換会には浜松市薬剤師会会長の品川彰彦氏や薬経連理事で神奈川県で薬局を経営する矢野良太郎氏なども参加しており、八戸薬剤師会の取り組みが薬経連を介して、他の地域でも広がっていく可能性もある。


*****
<編集部コメント>
 女性の健康支援を含め、薬局が取り組むべき領域は広がっている。これらを過度な負担で実践するのではなく、地域というネットワークで展開することにより負担の分散にもつながる可能性があるのではないかと感じた。
 そういった意味でも薬局業務の領域が広がれば広がるほど、地域での取り組みの価値は高まるのではないか。
 さらには地域単位での健康づくりの底上げにもつながることは、自治体との取り組みの成果向上にもつながると考えられる。
 コロナを機に市薬や地域薬剤師会の存在が大きくなったことは象徴的だ。
 地域で薬局同士が連携し、それによって自治体と協働していくことは、古くて新しい、コロナ禍で重要度の増しているテーマであるように思う。
 緊急避妊薬の問題も、地域連携のメリットが表れる1つの事例でもあるのではないだろうか。

この記事のライター

最新の投稿


【薬剤師臨床研修】全国31グループで“病院間”連携で実施/日病薬

【薬剤師臨床研修】全国31グループで“病院間”連携で実施/日病薬

【2026.08.20配信】日本病院薬剤師会は8月19日に定例会見を開き、薬剤師臨床研修事業の実施について説明した。全国31グループを認定し、地域の複数の病院や薬局が連携して臨床研修を実施する。単独ではガイドラインに準拠した臨床研修の実施が難しい医療機関でも施設間連携により可能とし、実施施設の増加を目指す。関連する調査研究や指導薬剤師のe-ラーニングは厚労省委託事業として採択された。


【厚労省】ビラノアNとアレジオン点眼薬を要指導薬に指定へ

【厚労省】ビラノアNとアレジオン点眼薬を要指導薬に指定へ

【2026.08.19配信】厚生労働省は8月19日、要指導・一般用医薬品部会を開催。ビラノアNとアレジオン点眼薬を要指導薬に指定する要否について議論し、両剤ともに要指導医薬品に指定する方針とした。


【病院薬剤師会】熊本の医療機関へ累計7名の薬剤師派遣/県と病薬の契約なく厚労省から派遣要請受託

【病院薬剤師会】熊本の医療機関へ累計7名の薬剤師派遣/県と病薬の契約なく厚労省から派遣要請受託

【2026.08.19配信】日本病院薬剤師会は8月19日に開いた定例会見で熊本地震への対応について説明した。


【日本総研レポート】「社会保険料負担軽減の焦点は医療保険制度改革」/成瀬道紀氏

【日本総研レポート】「社会保険料負担軽減の焦点は医療保険制度改革」/成瀬道紀氏

【2026.08.18配信】日本総研は8月12日、経済・政策レポート「社会保険料負担軽減の焦点は医療保険制度改革」を公表した。執筆は成瀬道紀氏。レポートでは骨太の方針に現役世代の社会保険料率引き下げが明記されたこと触れ、医療保険料率をどこまで引き下げられるかが焦点となると指摘。医療費への税投入増加を展望しにくい財政環境だとし、OTC類似薬など患者自己負担の増加の政策がとられているものの大きな財政効果は見込みにくいとし、医療の必要性に応じた給付のメリハリや供給側における効率的な医療サービス提供を促す改革が求められるとしている。


【地域連携薬局】「地域が持つべき体制への協力」/厚労省 前・薬局地域機能推進企画官の大井恒宏氏に聞く

【地域連携薬局】「地域が持つべき体制への協力」/厚労省 前・薬局地域機能推進企画官の大井恒宏氏に聞く

【2026.08.18配信】厚労省は6月30日、認定薬局の新基準に関する省令を公布した。その内容や趣旨について厚労省 医薬局総務課 前・薬局地域機能推進企画官の大井恒宏氏が本紙の取材に応えた。 <有料版「ドラビズ for Pharmacy」7/17・22号より一部抜粋>


ランキング


>>総合人気ランキング