保険薬局に勤務しています池下暁人と申します。SNSなどではイケアキの通称で発信させていただいています。気になる医療制度の動向と私見を寄稿していきます。
先日、ご飯の残りでおにぎりを作ろうと、サランラップに塩をまき白ご飯を乗せていたのですが、思ったよりご飯の残りが少なく、塩辛くなっちゃいそうなので塩を少し減らそうとサランラップをずらしたら・・・なんとご飯のほとんどを地べたに落としてしまい、一瞬で辺りは阿鼻叫喚の地獄絵図に\(^o^)/ もったいないのと虚しいのが入り混じった何とも言えない気持ちになりました。
そんなどうでもいい話はさておき、本日は2月22日に厚生労働省が公表した「人口動態統計速報 令和2年12月分」( https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2020/12.html )から思う事をつらつら書いていきたいと思います。(今回も自由ですみません編集長)
「人口動態統計速報(令和2年12月分)」によりますと、2020年の出生数は872,683人で対前年25,917人減少(△2.9%)と、統計開始以来最低となりました。2020年5月の段階で婚姻数などの少なさが指摘されていて、「もしかしたら80万人を切るかも…」なんて言われていたので、予想より少し多かったのかな、と思ってマス。
婚姻件数は537,583組で、同78,069組減少(△12.7%)となり昭和25年以来の減少率となっちゃいました。業界団体の推計では、今回のコロナ禍の影響で結婚式を延期したカップルは24万組とも言われています。新コロはホント影響度デカいですね…。
なんでこんな話をしたのかと言いますと、『出生数が少ない→子供の数が少なくなる→働ける人(労働人口)が少なくなる→高齢者の割合が増える→少子高齢化進む→社会保障費圧迫』という流れが火を見るよりも明らかだからです。それこそ先ほどのサランラップ事件みたいに…いやなんでもないです。
まだ速報値の段階ですが、この影響で少子化は予測よりも10年早く進むのではないか、とも言われていて、その影響がとっても気になります。さすがに2040年問題が10年早まって2030年に来るとかそういった事はないと思いますけど、社会保障費の見直しは避けられないのではないでしょうか。
社会保障費の中でも医療費は、国(特に財務省)はどうしても抑えたい分野だと思います。そのためにどうしようとしているのか。めっちゃ簡単なのは、〇保険料を上げる・〇診療報酬点数を下げる、ですが、さらに【(一部)医薬品を保険対象から外す】という事もずっと言われています。
実際に医薬品を保険対象から外すとなると、どういった世界が待っているのでしょうか。ちょっと妄想してみます。
医師「では今後は薬物治療になります。お薬出しておきますね(処方箋カキカキー)」
患者「ありがとうございます」
事務「お薬は薬局でもらってください。ちなみに自費です」
患者「えっ、じ、自費ですか…!?」
事務「そうなんですよー。先日、国の方針が変わりましたー」
患者「は、はあ…」
~薬局にて~
薬剤師「本日のお薬はこちらになります。お代金は1万円になります」
患者「ハッ!?そんなん高すぎだろ!」
薬剤師「お薬代だけ自費になってますので…」
患者「大した病気じゃないし、そんな高いならいらんわ!」
薬剤師「そう言われましても…医師に確認しますね」
患者「いらんから処方箋かえしてくれ!」
~後日病院にて~
患者「悪化した…先生、タスケテ…」
医師「この前の薬は飲まなかったんですか?」
患者「自費だったので、もらいませんでした…」
医師(マジか…今後は訴えられないように飲まなかったときの誓約書を書いてもらおうかな)
だいぶ極端な話ですけど、ありえない話ではないような気もします。
仮に自費対象の医薬品を作るなら、こういった事が起きないように「無くてもよい・不要」などの医薬品が対象になると思うのですが「必要・不要」の判断は医師がしているので、その前提だと何も変わらないですよね。本気でその必要性を判断するなら、医師とは別の視点もあったほうが良いのではないでしょうか。
医療が“阿鼻叫喚の地獄絵図”になる前に、しっかりと楔(くさび)を打っておきたいですね。
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イケアキ(池下 暁人 いけした あきと)
2003年に薬剤師免許取得後、個店薬局、DgS、国立病院機構を経て、2017年から診療報酬改定などに関わる。
もっと薬剤師が医療制度に興味持たないとな~とか思いながら日々活動中。
Twitterアカウント@AkitoIkeshita
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