【薬局経営状況】令和7年度薬価改定で1薬局あたり200万円の収益減/自民党薬剤師問題議員懇談会で訴え

【薬局経営状況】令和7年度薬価改定で1薬局あたり200万円の収益減/自民党薬剤師問題議員懇談会で訴え

【2025.03.12配信】3月12日、自民党薬剤師問題議員懇談会が開かれた。この中で日本薬剤師会と日本薬剤師連盟は、令和7年度薬価改定で1薬局あたり200万円の収益減となること、約3割の薬局が赤字経営であるなどのデータを示し、薬局経営の厳しい状況を訴えた。主要民間企業と比べ人件費上昇率・額は「大きく下回っている」とし、人材確保にも支障をきたしているとの危機感を表明した。


 日本薬剤師会と日本薬剤師連盟が示した薬局経営の状況では、令和7年度薬価の中間年改定で1薬局あたり200万円の収益減になる。
 薬価中間年改定では2500億円程度が引き下げられたが、現状では薬剤費のうち52%程度が薬局であり、16%が診療所、32%が病院。薬価引き下げの影響は薬局でより深刻となる。
 
 加えて、約3割の薬局が赤字経営であることも示した。

 こうした中、主要民間企業の賃上げ率・額に比べ、薬局は「大きく下回っている」状況ともした。
 
 薬剤師議員懇談会には悪天候の中、国会議員70名程度、秘書の代理出席70名程度が参集した。

 日薬会長の岩月進氏は、「薬局経営が困っているという事実を理解いただけたのではないか。我々薬剤師も医療の質を維持・確保しつつ、後発薬の更なる使用促進、長期品の選定療養、医療DXの積極導入などによって国民皆保険の維持や国民に必要な医療を確実に届けるためにしっかりやっていく。そのための財源確保について支援いただくことを要望した」と述べた。
 

 懇談会の事務局長を務める本田顕子参議院議員は懇談会終了後に、「薬剤師のことが国会でもかなり今、話題になっている。薬剤師の職能を狭めることがないように、という思いがある。皆さんに薬剤師の職能をしっかり理解していただくことが重要で、私自身も正しい情報を発信していきたい」と述べ、周辺環境についての危機感を示した。「単なる利便性や財源削減だけでなく、なぜこの国で薬剤師が責任を持って仕事をしているのか。金額だけではなく重要な仕事をしているということを理解していただけるようにしていきたい」と語った。

 神谷政幸参議院議員は、「本田議員の薬剤師の職能を狭めることがないよう、という言葉を受けて、私自身は医療DXへの貢献についても指摘したい」とし、「例えば処方箋を写真で撮って送る、これはDXとは言えるのか、と言うご意見も参加の先生がたからあった。医療DXの中での薬局DXというのは、薬剤師の職能を他職種の方々に理解をしていただくものだと考えている。薬局DXがどういった形で国民の方々の医療に貢献がしていけるのか、その姿というものも、しっかり主張していかなければいけない」とした。

この記事のライター

関連するキーワード


薬剤師議員懇談会

最新の投稿


【スギHD】セキ薬品の株式の取得/持分法適用会社化

【スギHD】セキ薬品の株式の取得/持分法適用会社化

【2025.08.19配信】スギホールディングス株式会社は8月19日、埼玉県を中心に調剤併設型ドラッグストアを展開する株式会社セキ薬品の株式(3万7929株、持株比率 34.8%)を取得し、持分法適用会社とすることについて決定し、同日、株式譲渡契約を締結したと公表した。


【薬局DXコンソーシアム】病院が新たに加盟/社会医療法人 仁厚会

【薬局DXコンソーシアム】病院が新たに加盟/社会医療法人 仁厚会

【2025.08.19配信】薬局DXコンソーシアムに病院が加盟した。社会医療法人 仁厚会が会員となった。


【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中

【医薬品情報把握システムの検討活発化】薬剤師会“アクションリスト”実践へ/MSNW「LINCLEちいき版」を全国の都道府県薬へ提案中

【2025.08.08配信】日本薬剤師会が公表した「地域医薬品提供体制強化のためのアクションリスト」。このうちの1つの事項である「地域の医薬品情報の把握・共有の取組」。この実践へ向けて情報共有のためのシステム選定の動きも活発化してきた。こうした中、メディカルシステムネットワーク(MSNW)では、もともと地域薬剤師会と共に開発を進めてきた「LINCLEちいき版」の提案を強化している。すでに10以上の都道府県薬剤師会への提案を進行中だという。


【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例

【厚労省】保険調剤「確認事項」公表/2枚処方箋で投薬期間上限を超えるなど不適切事例

【2025.08.08配信】厚生労働省はこのほど、保険調剤「確認事項」(令和7年度改訂版)を公表した。2枚処方箋を受け付けることにより、投薬期間上限を超えるなどの不適切事例を指摘している。


【東京都薬務課_危険ドラッグ】オピオイド受容体に働く成分を新規指定/水際対策の一環

【東京都薬務課_危険ドラッグ】オピオイド受容体に働く成分を新規指定/水際対策の一環

【2025.07.30配信】東京都薬務課は7月30日、定例会見を開き、7月3日に危険ドラッグに指定した成分について説明した。指定した3成分はいずれも興奮、陶酔又は幻覚作用等を有する。すでに厚労省でも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する大臣指定薬物に指定され、令和7年7月13日をもって施行された。