厚労省では国際情勢・社会経済構造の変化等に伴い、重要な物資を取り巻く状況が変化することを踏まえ、サプライチェーンの現状と供給途絶等のリスクを把握・点検するために、サプライチェーン調査を実施している。前回の2022年実施から2年が経過していることから、今回、再度、調査を実施することとしたもの。
安定確保医薬品カテゴリA(21成分、102品目)の製造販売業者に対し、品目別に、リスク要因の適否を聞いた。これに加え、厚生労働省において、各事業者からの回答に基づき、成分ごとに原薬原材料の供給国を整理した。
結果は、原薬原材料の供給経路について供給源が単一国だったのは8成分。5成分で供給国が2か国、8成分で供給国が3か国以上だった。
供給経路が単一の8成分について、供給国を分析すると、原材料の一部分でも供給されている成分も含めると、中国が5成分の原材料の供給に関与。うち4成分(βラクタム系抗菌薬)については、過去長期間供給が滞ったことなどから特定重要物資に指定され国産化が進められている。
残りの1成分については、特定重要物資に指定されていないが、原材料の供給企業が特定国のみに存在するものではない。また、これまでに原材料の外部依存を原因とした供給途絶事案はなく、現在も供給に問題はない。また、当該1成分はβラクタム系抗菌薬とは異なり、特別な製造技術や他の医薬品との混入防止のため他製品と生産ラインを共有できない等の課題は無い成分であった。
中国以外が供給国であった3成分については、1成分は日本、1成分は台湾、1成分はフィンランドであった。製造時の品質トラブルにより一時的に供給が不安定化する事案はあったが、いずれも、原材料の供給企業が特定国のみに存在するものではない。また、これまでに原材料の外部依存を原因とした供給途絶事案はなく、現在も供給に問題はない。
今回の調査結果は、供給経路が単一国の成分について、2022年から状況に大きな変化はなかった。一方、厚労省では今後も状況を注視し、状況の変化の兆しが見られた場合には、直ちに対応を検討するとしている。
加えて、供給源が単独であった場合は、品質トラブル等により安定供給への影響を受けやすい。これは供給源が海外であるか否かを問わない課題だ。
こうしたリスク要因への対応については、現在、製薬企業が代替供給源の探索を行う場合の補助事業や、供給リスク管理のためのマニュアルの作成事業が進められており、今後も継続して取り組む方針。

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