日本医師会常任理事の長島公之氏は次のようにコメントした。
「私は18日に開催された薬価専門部会において中間年改定の本来の目的を改めて申し上げました。本日はこれに加えてコメント致します。
医療の現場におきましては、いまだに医薬品の安定供給上の課題が解決されず、日常診療に大きな負担となっております。過去2回の中間年の薬価改定では、改定対象が広く設定され、新薬の開発や安定供給などにも影響が生じたとされ、不採算品再算定の特例的な実施などがあったものの、医療現場に与える影響がさらに大きくなると強い懸念を伝えておりました。
今回においては、イノベーションの推進、安定供給確保という令和6年度薬価制度改革の方向性に沿って、医薬品の役割や実態に合わせて、きめ細かく対応するという方針にしていくことは妥当と考えます。
特に過去2回対象範囲を設定する際に用いた係数に別れを告げ、中医協においてきちんと決めていくプロセスを取ったことは評価できると考えます。逆に言えばそれだけ深刻な状況であり、従前通りでは改善できないということなのかとも受け取れます。
いずれにいたしましても国民・患者の皆さまが必要な医療をいつでも受けられるよう関係者が鋭意努力し、有用性の高い新薬の開発と医薬品の安定供給の早期確立を切に願うところであります。
そして国民負担の軽減もそうでありますが、中間年改定のもう一つの目的である医療の質の向上に向けた対応が強く推進されるべきであると主張致します。
さて、骨子たたき台の各項目のうち不採算品再算定については、現在の供給状況を踏まえれば、対象を安定供給確保が特に求められている基礎的医薬品や安定確保医薬品A及びBに対して行われることは一定の意義があると考えます。
また大臣から増産要請を受けた鎮咳薬や去痰薬は日常診療において一般的に広く用いられる大変重要な医薬品であり、早期に安定供給の確保を望みます。ただ不採算品再算定が過去2回、特例的に大規模に行われたことを踏まえれば、今回はそこから漏れてしまったもののやはり評価が必要といえるものにターゲットを絞るべきと考えます。具体的には今回提案があったように、一定の品目に限定して適用することに異論はありません。
そして過去2回の特例的な対応の結果が明確には言えなかったことを踏まえれば、企業に対しどのような改善が行われたのか、あるいは今後行われていくのか引き続き詳しくその効果や取り組みについてきちんと説明が果たされるよう求めていきたいと思います。また次回、令和8年度の薬価改定に向けて定期的に検証していくことも必要であると考えます。私からは以上です」
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