供給の再開に向け、「必要な薬事手続きを進めている」
厚労省の定例会見で局所麻酔薬「アナペイン」が全国的に不足している問題について、記者から質問が出ると、福岡厚労相は、「アナペイン」だけに限らず、医薬品の供給不足に対しては、医療現場の声や製造販売業者等からの報告を踏まえ、製造販売業者へ増産の要請や、医療機関等への適切な処方等の働きかけを行うなど、個別の事例に応じて丁寧に対応しているとの考えを示した上で、「アナペイン」については、製造トラブルにより全ての受注に対応できない状況になっているとの認識を示し、供給の再開に向け、現在、必要な薬事手続きを進めているとした。
加えて、今年の8月には、アナペインの後発医薬品が承認されており、年内には供給が開始される見込みとなっているとも説明した。「今後も医療現場の声を踏まえつつ、品質の確保された医薬品が安定的に患者の元にお届けできるようにしてまいりたいと考えています」(福岡大臣)とした。
記者:
無痛分娩やがん治療などに使われている局所麻酔薬の「アナペイン」が全国的に不足している件についてお伺いします。厚労省などは、全国の医療機関に対し、治療が必要な患者の優先順位をつけて対応することや、薬の使用量を減らす工夫をすることなどを呼びかけていますが、供給量が回復する見込みは今のところ立っていません。取材したところ、医師や患者から不安や対策を求める声があがっていますが、そうした意見はメーカーなどに届いておらず危機感にギャップがある印象を受けました。受け止めと対策、そして厚労省として医療機関に対する実態調査をするのかどうか大臣のご所見をお願いします。
大臣:
これは「アナペイン」だけに限らず、医薬品の供給不足に対しては、医療現場の声や製造販売業者等からの報告を踏まえ、製造販売業者へ増産の要請や、医療機関等への適切な処方等の働きかけを行うなど、個別の事例に応じて丁寧に対応しているところです。加えて、実態を網羅的に把握する観点から、医薬品の供給不足が生じた場合に、「供給状況報告」制度により製造業者に対して厚生労働省への報告を求める仕組みとしており、供給実態について把握を行っているところです。なお、ご指摘の局所麻酔薬である「アナペイン」については、製造トラブルにより全ての受注に対応できない状況になっていると承知していますが、供給の再開に向け、現在、必要な薬事手続きを進めていると聞いています。加えて、今年の8月には、アナペインの後発医薬品が承認されており、これが薬価収載等も含めて年内には当該医薬品の供給が開始される見込みとなっており、今後も医療現場の声を踏まえつつ、品質の確保された医薬品が安定的に患者の元にお届けできるようにしてまいりたいと考えています。
記者:
今の「アナペイン」の件ですが、1社提供であり、代替薬も供給が制限されているという状況があると思います。医療機関からは、1社提供の薬が出荷制限になった場合、他の会社が当該の薬を供給できる、製造できる体制を構築して欲しいという意見もありました。こうした意見について何か対策がありましたらお聞かせください。
大臣:
今おっしゃった「アナペイン」につきましては、後発品の供給も含めて準備がなされているということですが、今おっしゃったように1社製造のようなところについて、万が一の時の安定供給をどうしていくかということは重要な課題だと思いますので、そうした供給不足が起こらない仕組みをしっかり構築してまいりたいと考えています。