特別用途表示制度における病者用食品のうち、特に経口補水液については、清涼飲料水よりも電解質量が多く含まれているため、脱水状態時でない場合、または脱水の原因となる疾患等に罹患していない場合に漫然と使用することにより、短期的に健康上の問題を引き起こす可能性がある。清涼飲料水と容器・形状が類似しているため、誤認して購入・使用されるリスクも高い。
こうしたことを踏まえ、消費者庁では従来の次長通知について、改正を行う方針でパブリックコメントを募集している。
改正案は、経口補水液の販売にあたっては、そのほかの清涼飲料水とは明確に区別し、病者用食品(経口補水液)であることがわかるようにポップ等で明示することを求める。
加えて、医師および管理栄養士のほか、経口補水液の適切な使用方法を説明できる薬剤師等の医療従事者による確認や相談等が行われる体制が整った場所、または方法により販売することとする。
実店舗販売では、消費者に対して医師から経口補水液の摂取を指示されているかを医療関係者が確認できる体制に努めることとしている。
通知の改正だけでなく、これまで通知で規定してきた健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関して法令上位置づけるように内閣府令を改正する。
日本薬剤師会はパブリックコメントに意見を提出し、おおむね改正案を支持する考えを示した。
意見書では「特別用途食品の必要的表示事項を次長通知から内閣府令へ 規定し法令上明確化すること及び経口補水液を一般の清涼飲料水と誤認して購入・使用されることを防ぎ、健康上の問題を引き起こすことがないよう販売方法に関する留意事項を長通知へ規定するということは賛成する」と記載。
薬局においても、経口補水液を取り扱い、適切な使用方法について指導を行っているところであるとし、引き続き経口補水液の適正使用に積極的に薬剤師が関与していきたいとの考えを示した。
その上で、経口補水液を含め、特別用途食品には薬局で薬剤師が適正使用のための説明及び関与して販売しているものが多くあるとし、「今般、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(案)に明記される必要的表示事項の「~等の相談、指導を得て使用することが適当である旨」に薬剤師を追加することを検討していただきたい」とした。