12時半を終了予定としていた6日の厚労省「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」。
残すところ、10分ほどとなった時だった。
通常は部会長の指名を待っての出席者発言となるところ、参考人として出席していた日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)理事の森信氏が、部会長の指名のない中で発言を始めた。
「部会長、私は参考人として参加させていただいたのですが、実際はわれわれは90%以上を販売しているんです。その意見を検討会で伝えることができていないので、わたくしは参加をさせていただいています。ですからぜひですね現場の話を聞いていただきたいと思うんですよ。前回も話しましたけれども、ぜひ、時間がないので部会長から私の方に指名をしていただければと思います」(森氏)とした。
これに対し座長は、「今ということですか」と質問。森氏は「そうなんです」と応答。座長は「事務局と相談したいと思います」とした上で、先に手を挙げていた委員から発言を促した。
その委員の発言が終わると、座長はJACDS森氏に発言を促し、「5分以内ぐらいでお願いします」と述べた。
するとJACDS森氏は「20分かかります」と話し始めた。
「この20日間寝ずにというくらいに(資料を)つくってきました。まずは大前提で、“医薬品の販売制度に関する検討会のとりまとめを基に”(事務局資料)と言われますけれども、検討会で我々、実店舗で販売しているですね、90%以上を我々が販売している、業界の意見がほとんどと言っていいほど入っておりません。その中で前回の5月16日に制度部会で福井部会長さんより、有用性と濫用の話の数値化ができるのかということで厚労省さんに問い合わせをされ、どのくらいの方がOTCで亡くなられたりしてるのか、増えているのか減ってるのかということもあってですね、資料を厚労省さんの方から出していただいていますけれども、参考資料24ページ以下は以前からある資料でございまして、これは字が小さいからよく分かりにくいんですけども、2018年までぐらいの資料だったり、2020年までの資料だったりということでこの資料においてはですね、私たちが今日、意図的に紙で(当日資料を)出させていただいたいただいてますが、これは必ず持ち帰っていただいて、内容を読んでいただきたいと思います。3ページから9ページに、検討会でも出されたであろう資料について、正当性といいますか、分析がしっかりなされて検討会で議論されたのかということを疑わしく感じたところであります(JACDS森氏)とした。
続いて森氏は次のように述べた。
「次に厚労省さんの資料の6ページのところなんですけれども、読みますと時間かかりますので、前回、われわれは医薬品の濫用等から国民の皆様を守るゲートキーパーとして必要な確認等は毅然として行いますということを申し上げております。その上で、検討会とりまとめで提言されています購入者情報の記録・保管、いわゆる空箱陳列、これについては絶対に実行不可能でございます。
先ほどいろんな意見を出されましてね、危険だ危険だとおっしゃいますが、これ危険ドラッグじゃないわけです。OTCというのが有用性があって、そして使い方が間違って危険になってるわけですから、多くのほとんどの国民が、ちょっとした風邪とかに利用して非常に助かっているわけです。先ほど1類の話もありましたけれども、1類の薬が出て、薬剤師の説明をして、本当に助かったと、自分は仕事をしている中で病院で長く時間を待ってそしてあるいは感染をしたこともあるとか、そういう方が胃の調子がちょっと悪いという時に薬を飲むというようなことで、本当に助かっているというのがこれが現場でございます。
あとは資料7ページについて申し上げますけれども、手の届かないところに、あるいはバックヤードに(陳列をという件)、先ほどは品目数を減らせとか言われましたけれども、品目を減らすということ、われわれは国のお金をもらってるわけでもない、自由経済の中でやってるメーカーに対しての発言とは本当に思えないと思います。医療用だったらジェネリックに変えるということで変えることができるでしょうけれども、OTC医薬品で“あなたのところ止めなさいよ”、ということを国がやるのかということです。店頭では250から400品目の対象商品を販売しております。これ昨年の4月から(濫用のおそれのある医薬品として)総合感冒薬が規制されましたので、250から400品目を(濫用のおそれのある医薬品として)取り扱っています。これを、鍵付きの什器にするということは、まず手が届くということができないので、購入をしようとする人が手に取ることが全くできない。今まで買ってのはこれだったかなということに気づきもできない。さらにその鍵を1つずつ開けると。どのような現場を見てそういうことを発言されたたのか、全くわかりません。
年間に総合風邪薬と咳止めの風邪薬で1億4231万個を売っています。これを鍵のかかる所に入れて、それを一般のスタッフ、資格を持った人間に開けさせて、それを待つ時間に、今度はちょうど新聞にも載ってましたけれども、われわれ店頭はですね、流通業・サービス業ではカスハラが2人に1人経験があるわけですよ。もう強烈なんです。現場はみなさんわかりますか。分かってモノをいってほしい。
それから、私たちは何をやるかというと、今までルールの中にですね、先ほど説明ありましたように情報提供は義務と努力義務に分かれていたんです。努力義務だから説明を求められたときに説明をしようというふうな状況でした。ですから医薬品コーナーに常駐でいなかったということを言っております。それが現状です。ですからここは確実に現場で医薬品のコーナーに資格者が常駐して、そして医薬品の濫用、濫用以外もですけれども、購入状況を見ながら声がけもやると。それから濫用についてはすべてにおいて声かけをやるという、今までやってこれなかったことを人員を増やして資格者を徹底的に増やしてやっていこうと。これが一番の濫用防止ですよ。それ以外の防止はないと思います。その時に、なぜこれなのと言った時に、先ほど先生がおっしゃったように、家庭環境の話になったりとかもするんだと思うんです。そういう心の支えにもなるので、われわれは店舗で医薬品コーナーにこれは統一見解でございますけれども、資格者が常駐するということをやっていくということでございます」(JACDS森氏)。
ここで森氏が「続きまして」と続けると、部会長が「ちょっと時間もですね、申し訳ないんですけれども5分以上経っていまして」と言葉をはさんだ。
するとJACDS森氏は発言を続け、「だから委員に入れてもらえないからこんなことになる。厚労省さんが。なぜ我々99%、90%と言いましたけど本当は99%ですよ、われわれが売っているんですよ。調剤薬局さんがバックヤードに置けるよと言うけれども、それは調剤薬局は全部で45品目ぐらいしかないんですよ。それは鍵かけられますよ」と述べた。
続いて部会長が「何かの形でご意見はまた伺いますので」と進行しようとすると、JACDS森氏は「30分以上時間をください。それと現場を皆さん見てください。都心の店で空箱置いて、どこに置くんですか。実際見てからモノ言ってください。それともう1つ最後に言います。国民がそれを望むのかというのをアンケートを取ってみてくださいよ。しっかり。あなたたちの意見だけじゃなくて。あなたたち相当偉いのかもしれないけれど、みんな困りますよ。以上です」と述べた。
部会長は「もう少しいい雰囲気で議論したいですので」と述べた。
JACDS森氏は「次回はもっとゆっくり喋りますけれど、時間は限られる、私たちは厚労省に20分は要りますよと言ってるんですよ、事前に。にもかかわらず5分で、それは難しいですよ」とした。
部会長は「ほかの委員にもそのようにお願いしていますので」と述べた。
JACDS森氏は「われわれは委員ではなくて参考人としてしか呼ばれていないし、前回の検討会とりまとめに至っては、ドラッグ業界の意見はことごとく入れられておりません。以上です」と述べた。