「承認書の変更が必要か判断に迷うもの」が4.2%(281品目)/すべて厚生労働省又は地方当局に回収の要否を含め相談
一般用医薬品において承認書の内容と異なる製造方法での製造や適切な品質管理が行われていない等の事例が指摘されている。
こうした中、日本一般用医薬品連合会では加盟5協会の構成メンバーからなる医薬品品質プロジェクトを立ち上げ、加盟企業の責任の基に自主点検(「承認書と実態との整合性の確認」及び「GMP 省令に基づく実態の確認」)を 2023 年 1 月~12 月に実施した。
自主点検の対象品目は自社で製造し製造販売している品目だけでなく、製造を他企業に委託して製造販売している品目も含む。このほど、その自主点検の結果を取りまとめ公表した。
自主点検の事項は、大きく2つ。1つは、「承認書と実態との整合性の確認」、2つ目が「GMP 省令に基づく実態の確認」だ。
1つ目の「承認書と実態との整合性の確認」については、一般薬連が自主点検チェックリストを作成し、各企業が自主点検を実施。
規格及び試験方法(別紙規格含む)に記載された試験法に関しては、時間の経過と共に試薬や器具・機材が入手できなくなったり、技術の進歩に合わせて、より新しい精度の高い試験法を採用した等の理由により、承認書の記載と異なる事例があったため、そのような事例に関しては、現在行っている試験方法が承認書に記載の方法と、同等若しくはそれ以上の結果が得られるかを確認し、同等の結果が得られなかった場合には、速やかに当局に相談する等の対応を取ることとした。
自主点検の実施にあたって、事前に厚生労働省 監視指導・麻薬対策課長、医薬品品質プロジェクトリーダーが講演したビデオを作成し、各企業の品質・薬事の責任役員、品質保証責任者、総括製造販売責任者等に視聴してもらい、あらためて法令遵守を強く呼びかけた上で、自主点検を実施した。
「GMP 省令に基づく実態の確認」についてこれまでに起こった一般用及び医療用医薬品の承認書と実態の不整合や GMP 省令違反を指摘された事例に係る第三者委員会報告書から抜粋し、GMP 省令の確認項目(承認書との齟齬、出荷管理、逸脱管理、変更管理、安定性モニタリング、教育訓練等の GMP 省令に関する項目)の中で、過去に違反の多かった事例について、そのような事例が無いか確認した。
これら自主点検結果の提出時については、品質保証責任者が確認の上、責任役員と総括製造販売責任者がレビューをして、点検結果に責任を持ってもらう目的で、各々の署名を付して提出してもらった。
こうした自主点検の結果は、「承認書と実態との整合性の確認」については、加盟企業 246 社中 220 社において製造販売されている 6650 品目すべての自主点検を完了。
「承認書の変更が必要か判断に迷うもの」が4.2%(281品目)あり、該当する製品を有する企業は、すべて厚生労働省又は地方当局に回収の要否を含め相談を行い、必要な措置・対応を行っていることを一般薬連として確認しているという。
点検が完了していない、残り 26 社の点検も継続している。
「GMP 省令に基づく実態の確認」については、加盟企業 246 社中 201 社で GMP省令の内容に適合していることを確認している。点検が完了していない、残り 45 社の点検も継続しているという。