日薬・渡邊副会長「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施では健康サポート薬局での健康イベントも有効」
同日の部会では、第3期医療費適正化計画(2 0 1 8~2 0 2 3年度)の目標と進捗状況(全国)が報告され、4期への見直し点が議論された。
第3期では生活習慣病の重症化予防や予防・健康づくりの推進(健診・検診等)、後発医薬品の使用促進、重複投薬・多剤投与の適正化などが実施されてきた。
このうち、特定健診・保健指導の効果測定は、前提条件によって推計結果が異なるとして難しいとしつつも、機械的に推計すると、特定保健指導による医療費適正化効果(1人当たり単価)は約6,000円、実施率の目標(特定健診70%・特定保健指導45%)達成による医療費適正化効果は約200億円程度とされた。4期ではアウトカム評価に着目しつつ進める方向が示された。
こうした報告・議論の中で、日本薬剤師会副会長の渡邊大記氏は、「オンライン資格確認によって健診受診の有無が分かるようになったため、薬局からピンポイントでの啓発が可能になる」と述べ、健診実施率向上に薬局も役割を果たせるとの考えを示した。
そのほか、渡邊氏は後発薬推進や「高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供」などについても言及。
後発薬使用促進については、「今後も取り組むべきもの」としつつ、今後の進展に関しては「ハードルが高くなる」と懸念を表明。「今まで以上に患者への不安を与えないような説明も必要」であることや「置き換えが難しいものもある」として、バイオシミラー推進を含めて、「クリアすべき課題がある」との認識を示した。
バイオシミラー推進の実務的な難しさについても触れ、「高額なものが多い」ことや「卸への返品がきかないこと」「事前在庫が難しいこと」などを懸念材料として挙げた。
加えて大前提は安定供給だとして、安定供給が確保できない以上、「使用率の伸びは縮まってくる」と指摘した。今後の使用率についても「どこまでも伸びるわけではなく頭打ちになっていくことも念頭に置いておくべきだ」と述べた。
重複投薬については、「しっかり取り組んでいく」とし、電子処方箋などの医療DX進展によって、「聞き取りだけでないチェックができるようになる」と有用性を指摘。さらに健診結果情報も服薬指導に生かせるとした。
加えて、「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」にも言及し、重症化予防のためには多職種連携が重要とした上で、訪問相談や健康サポート薬局を中心にした健康づくりイベントなどの薬局の取り組みについても「有効な手段ではないか」と述べた。
抗菌薬の使用や化学療法の外来での実施の問題については推進していくとした上で、特に化学療法の外来推進については、専門医療機関連携薬局の役割にも触れた上で、推進していく必要があるとの考えを示した。