世帯年収300万円未満で「苦労」の傾向高く
厚生労働省は、女性への健康支援の観点から、経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいるという「生理の貧困」に関して、問題を抱える女性の分布や心身の健康状態、日常生活への影響等についての実態や現状を調べるため、「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」を令和4年2月に実施した。
このほど、調査の結果を取りまとめ公表したもの。結果概要は以下の通り。
■調査結果のポイント
○生理用品の購入・入手に苦労している人の分布(第1表)
「新型コロナウイルス発生後(2020年2月頃以降)、生理用品の購入・入手に苦労したこと」が「よくある」「ときどきある」のは回答者の8.1%(244人)であった。
「よくある」「ときどきある」の割合は、年代別にみると30歳未満で、世帯年収別にみると300万円未満の者で、それぞれ高くなっていた。
購入・入手に苦労した理由は「自分の収入が少ないから(37.7%)」「自分のために使えるお金が少ないから(28.7%)」「その他のことにお金を使わなければいけないから(24.2%)」等が挙げられた。
交換頻度を減らす等の対処で「かぶれ」など身体的な症状も引き起こしている
○生理用品を購入・入手できないときの対処法(第2表)
生理用品の購入・入手に苦労したときの対処方法として、「よくある」「ときどきある」を合計した割合がもっとも高いのは、「生理用品を交換する頻度や回数を減らす(長時間利用する等)(50.0%)」、次いで「トイレットペーパーやティッシュペーパー等で代用する(43.0%)」「家族や同居者に生理用品をゆずってもらう(39.8%)」「友達に生理用品をゆずってもらう(33.2%)」であった。
○身体的な健康状態(第3表)
生理用品の購入・入手に苦労したときの対処法として、「生理用品を交換する頻度や回数を減らす(長時間利用する等)」「トイレットペーパーやティッシュペーパー等で代用する」「タオルやガーゼ等の布で代用する」を選択した人に対して、生理用品を購入・入手できないときの身体症状について尋ねたところ、「よくある」「ときどきある」の合計は、「かぶれ」が73.5%、「かゆみ」が71.5%で、「外陰部のかゆみなどの症状」 「おりものの量や色の異常」 「外陰部などの発赤、悪臭」 について、いずれも半数を超えていた。
生理用品の入手に苦労したことがある人の7割で「心理的苦痛」
○精神的な健康状態(第4表)
悩みやストレスの尺度である「K6※1」を用いて精神的な健康状態を測定したところ、生理用品の購入・入手に苦労したことが「ある」人の平均値は13.1点で、「心理的苦痛を感じている」とされる10点以上の人が69.3%であった。一方、苦労したことが「ない」と答えた人の平均値は6.4点で、10点以上は31.1%であった。
※1 K6、Kesslerら(2003)。合計得点は0~24点、得点が高いほど精神的な不調が深刻な可能性があるとされる。
苦労がある人のうち半数が公的支援制度を認知していない
○社会生活への影響(第5表)
生理用品を購入・入手できないことを理由とする社会生活への影響については、「プライベートのイベント、遊びの予定をあきらめる(40.1%)」「家事・育児・介護が手につかない(35.7%)」、「学業や仕事に集中できない(34.1%)」などが挙げられた。
○生理用品に関する公的支援制度の認知・利用状況(第6表)
居住地域で行われている生理用品の無償提供の認知については、生理用品の購入・入手に苦労したことが「ある」人のうち、制度があるかが「分からない」は49.6%であった。また、制度を知っている人のうち、利用したことがある人は「17.8%」のみであった。市区町村での無償提供を知っていたが利用しなかった理由として「必要ないから(69.8%)」の他、「申し出るのが恥ずかしかったから(8.5%)」「人の目が気になるから(7.8%)」「対面での受け取りが必要だったから(6.2%)」等が挙げられた。
■厚労省HPの結果掲載
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24693.html