日本薬剤師会第98回定時総会で、同会会長の山本信夫氏は会長演述を行った。
コロナ禍の状況については、医療関係者のコロナワクチン接種が進んでいる一方、一般国民への速やかなある接種を進める体制は急務であるとの考えを示した。
その上で、「薬剤師による接種は今後の接種の進捗状況をみながら検討するとされたが、今後の状況によっては(薬剤師に)打ち手としての要請も想定されることから、要請を受ける事態に即応できるよう準備を進めている」と述べた。
また、規制改革推進会議で調剤業務の外注や薬剤師の配置基準が議論されたことに改めて反対する考えを表明。
「医薬品の専門職として、効率のために本質的な業務を外注するのは本末転倒」とするとともに、「他の専門職種から本質的な業務に関して意見されることは看過できない」と述べた。「誤った方向に進まないよう、関係方面に働きかけていく」との方針を示した。
同時に、薬剤師が薬局業務を見直し、改善を図っていくことは当然のこととし、「業務の改善には不断の努力を行っていく」と話した。
不祥事の続く後発医薬品に関しては、これまでの薬剤師や医師の努力があったことも鑑み、「1日も早い信頼回復を」と求めた。
スイッチOTC化が議論されている緊急避妊薬に関しても触れ、「社会的な関心も起きている医薬品であり薬剤師として複合的な視点での議論が求められている」とした。「医療用医薬品からOTCへのスイッチという基本的な政策には賛成だが、対象となる医薬品や成分については使用者の健康状態への影響や社会的な影響が十分に検討されなくてはいけない」とし、「やすきに流れることなく、社会要請にも配慮しスイッチ化の判断をあやまらぬよう対応していく」と述べた。
いわゆる反復利用処方箋については、「骨太方針に同会の要望と同様の記載がされたことは、薬剤師会の要望が政府に受け入れられたこと」と評価。
今後の方針については、先ごろ公表した政策提言を「着実に取り組んでいく」とした。
【コロナワクチンの薬剤師による接種】日薬山本会長「打ち手として要請想定される」/要請に即応できる準備に意欲
【2021.06.26配信】日本薬剤師会は6月26日に定時総会を開催し、会長演述した山本信夫会長は、「一般国民への接種を進める体制は急務」との見解を示した上で、「(薬剤師に)打ち手としての要請も想定される」として、こうした要請に対し薬剤師会として「即応できる準備を進めている」と述べた。
関連する投稿
【日本薬剤師会】夏の参院選へ、「通らなければ何もなくなる」/岩月会長
【2025.05.28配信】日本薬剤師会は5月28日に都道府県会長協議会を開いた。挨拶の中で岩月進会長は、薬剤師業務に大きな影響を与える夏の参院選の厳しい状況について触れ、「通らなければ何もなくなると思わなければいけない」と語気を強めた。
【日本薬剤師会】緊急避妊薬の調査事業を報告/「世の中の流れはスイッチ化と理解」
【2025.05.22配信】日本薬剤師会(日薬)は5月22日に定例会見を開催した。その中で緊急避妊薬の薬局販売にかかる調査事業について報告した。
【2025.05.14配信】日本薬剤師会は5月14日、改正薬機法が成立したことを受けてコメントを発表した。
【日本薬剤師会】“アクションリスト”、「早急に」作成・公表/地域医薬品提供体制強化で
【2025.04.10配信】日本薬剤師会は4月10日に定例会見を開き、地域医薬品提供体制強化のための「アクションリスト」について、「早急に」作成、公表したい考えを示した。
【日本薬剤師会】公式キャラクター「ふぁるみん」47都道府県ご当地版作成/LINEスタンプも
【2025.04.10配信】日本薬剤師会(日薬)は4月10日に定例会見を開いた。この中で公式キャラクターである「ふぁるみん」について、47都道府県ご当地版を作成したと報告した。日薬版ではLINEスタンプの配信も開始した。
最新の投稿
【大木ヘルスケアHD】“推し活”キーに医薬品需要に気付き/目薬や喉ケア/秋冬商品提案で
【2025.06.15配信】ヘルスケア卸大手の大木ヘルスケアホールディングスは6月11日に、事業部説明会を開催した。来る6月17日(火)~6月18日(水)にTRC 東京流通センターで開く「2025OHKI秋冬用カテゴリー提案商談会2025 年 OHKI 秋冬用カテゴリー提案商談会」の事前説明会の位置付け。OTC医薬品に関しては、“推し活”市場の拡大を背景に、“推し活”をきっかけに需要に気付きを与える提案を実施することを説明した。
【骨太方針_閣議決定】「高齢化の伸び」に経済・物価動向の増加分を加算
【2025.06.13配信】政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太方針を閣議決定した。医療・介護に関連しては、「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と記載した。これまでは、社会保障関係費の伸びを高齢化の範囲内に抑える方針がとられてきた。薬剤師で参議院議員の神谷政幸氏はXで「税収増を踏まえた経営の安定化や確実な賃上げに繋がる対応がついに反映」と投稿。医療介護業界の声が届いたとの考えを示唆した。
【奈良県薬剤師会】「健康ハートの日 2025」に協賛/気になる“nara”測ろう血圧ポスター作成
【2025.06.12配信】奈良県薬剤師会(後岡伸爾会長)は、「健康ハートの日 2025」に協賛する。
【マイナ保険証】活用で「多重受診・過剰処方」発見効果/日本保険薬局協会調査
【2025.06.12配信】日本保険薬局協会は6月12日に定例会見を開き、「保険薬局における医療DX活用と業務貢献等の実態調査」の結果を説明した。「多重受診・過剰処方」の発見など効果がみられた。
【日本医師会】自公維3党合意に見解公表/病床削減と医療DXに「総論賛同」
【2025.06.10配信】日本医師会は6月9日、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党合意についての見解を公表した。