文部科学省では令和10年度以降に順次実施予定の次期学習指導要領等に向けて、基本な方向性や各教科等の改善の方向性等を示した「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」を公表し、現在パブリック・コメントを実施している。
これに対し日本薬剤師会(日薬)は、「市販薬の過剰使用に関して小・中・高の学習指導要領に追記し、小・中・高を通して、系統的に学習する必要がある」との意見を提出した。
提出した意見は下記の『医薬品の正しい使い方に関する教育の充実』など4項目。
1.医薬品の正しい使い方に関する教育の充実
近年、市販薬の多様化※1や入環境の変化(インターネットによるなりすまし入等)が進む中で、医薬品を正しく使い、自分の健康を自ら維持・管理する能力(ヘルスリテラシー)の育成は重要となっている。
審議のとりまとめにおいても、「生涯にわたって自身の健康等を継続的かつ適切に管理する意思決定能力や実践力」の育成が示されている。
小児を含む幅広い年齢層で医薬品が身近に使用されている現状に鑑み、小学校の段階から系統的に知識を身に付けていく必要がある。小・中・高を通じてヘルスリテラシー教育を充実するためには、小学校の学習指導要領に医薬品の正しい使い方について追記し、小学校から学習することが極めて重要である。
2.市販薬の過剰使用問題への対応
市販薬の過剰使用(オーバードーズ)が低年齢化※2しており、薬機法改正により濫用のおそれのある医薬品に関する販売規制の強化など※3が行われているが、オーバードーズの背景にある生きづらさや孤独感への対応を含めた教育や啓発が何よりも重要である。
審議のとりまとめにおいて「現代的な課題の顕在化を含め健康課題等が絶え間なく変化し複雑化・多様化している状況や関係法令等を含む社会の要請を踏まえ」とされており、まさに市販薬の過剰使用は喫緊の社会的な重要課題であり、早急な対応が不可欠である。
このため、覚醒剤等の薬物乱用につながるおそれがある市販薬の過剰使用の危険性や依存性について、小学校から学び理解することが重要である。覚醒剤等の薬物乱用のみならず、市販薬の過剰使用に関して、小・中・高の学習指導要領に追記し、小・中・高を通して、系統的に学習する必要がある。
「生命(いのち)の安全教育」の更なる充実提言/緊急避妊薬が薬局等で販売が可能になったことも言及
3. 学校薬剤師の活用
医薬品に関する教育内容には専門性の高いものもあることから、上述の1.2.のような教育にあたっては、保健体育科教諭等学校薬剤師の連携を図る必要がある。このため、学校薬剤師が薬に関する教育・啓発を行うことができるよう、各学校における体制整備をお願いしたい。
4.「生命(いのち)の安全教育」の更なる充実
昨年2月より、緊急避妊薬が一定の条件の下、薬局等で販売が可能となり、その対応の中で性被害が推測される事例に接することもある。性犯罪・性暴力に関する様々な課題が指摘される中、子どもたちが自他を大切にし、安全に生きる力を育む「生命(いのち)の安全教育」の更なる充実を望む。