医薬品提供に関しては、規制改革推進会議などから「在宅患者への薬物治療の提供については、訪問看護師が訪問した際に患者が薬剤を入手できていない」などの指摘があり、訪問看護ステーションへの配置薬剤を拡充するなどの提案がされてきた。
厚労省でも「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」を実施し、今年3月には「これまでの議論のまとめ」 を公表していた。
こうした動きを受け、日本薬剤師会でも「アクションリスト」を策定する方針をこれまでも示してきており、夜間・休日での薬剤提供や地域に必要な薬局・薬剤師機能を発揮するための薬局間連携を後押ししたい考え。
これらの取り組みは訪問看護ステーションへの薬剤配置の問題といった限定的な課題への対応だけでなく、少子高齢化の進展に伴い医療需要が増大する一方で、医療の担い手確保が困難になることが想定される中、どのように在宅患者を含め地域の医薬品提供体制を確保するかという喫緊の課題への対応となる。
こうした社会情勢変化に薬剤師、薬局が対応する覚悟表明ともいえる。
アクションリストの骨子では、まずすでに整備が始まっている地域における薬局機能の把握、すなわちリスト化を広く地域での活用を進めるとともに、継続的なメンテナンスを規定する。
加えて、地域の医薬品情報の把握・共有を目指す。これは医薬品提供が不安定になっている中、地域資源の有効活用にもつながることが想定される。
さらに、こうした情報把握をベースとして、地域の医療体制と薬局機能を分析し、課題発掘や対応を協議することになる。
特に地域の一次救急体制に応じた体制の整備などを通して、休日・夜間における医薬品提供体制の構築を強化する。
また在宅医療における医薬品提供体制は薬局支援や薬局間連携の促進などを通して強化する。
他職種との協議・連携では連携の窓口となる受け皿の設置を想定する。
離島・へき地、薬局がない地域にも対応することを見込む。
これら「アクションリスト」はあくまで指標となるものであり、地域の実情に応じた対応の協議や実施が必要となると見込まれる。
地域薬剤師会や都道府県薬剤師会の活動、また地域での多職種間や行政との連携が重要となる。

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