武田コンシューマーHC、株式のBlackstoneへの譲渡を発表。従業員の雇用は継続意向

武田コンシューマーHC、株式のBlackstoneへの譲渡を発表。従業員の雇用は継続意向

【2020.08.24配信】  武田薬品工業は、同社連結子会社である武田コンシューマーヘルスケアの全株式を、The Blackstone Group Inc. に譲渡することを決定し、同日、譲受会社との間で株式譲渡契約を締結したと公表した。


【2020.08.24配信】
 武田薬品工業は、同社連結子会社である武田コンシューマーヘルスケアの全株式を、The Blackstone Group Inc. とその関係会社が運用するプライベート・エクイティ・ファンドが管理する買収目的会社Oscar A-Co株式会社に譲渡することを決定し、同日、Oscar A-Coとの間で株式譲渡契約を締結したと公表した。Blackstoneグループは世界有数の投資会社で、ヘルスケア分野への豊富な投資実績を有しているという。
 
 武田薬品工業は、「Blackstoneの積極的かつ戦略的な投資のもと、独立した企業グループとして迅速かつ柔軟な意思決定を行うことで、武田コンシューマーヘルスケアが市場ニーズに即応し、製品ブランドをより一層成長させ、さらに発展していくものと確信している」とコメントしている。  
 Blackstoneは、現在の武田コンシューマーヘルスケアの経営陣とともに事業を成長させ、従業員の雇用を継続する意向という。

 株式譲渡価額は、武田コンシューマーヘルスケアの企業価値2,420億円に、武田コンシューマーヘルスケア及び同社の完全子会社である武田ヘルスケアの純有利子負債や運転資本等に係る調整を行い、実際の譲渡価額を確定する。ブルームバーグは、武田薬品工業が約1400億円の株式売却益(税引き前)を得る見通しと報じている。

「コンシューマー領域の競争激化で機動的なビジネス必要」

 武田コンシューマーヘルスケアに関しては、コンシューマーヘルスケア市場における競争が近年ますます激化し、顧客のニーズも一層多様化する中、戦略を一段と強化し、さらに機動的なビジネスモデルを構築することで市場への即応性を高めていくことが必要となってきているとしている。
 一方、武田薬品工業は、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の主要な5つのビジネスエリアにフォーカスするとともに、サイエンスにより生活を一変させる革新的な医薬品の創出に注力する戦略を取っていく。

代表取締役社長CEOのクリストフ・ウェバー氏が長文のコメントを発表

 株式譲渡実行日は、2021年3月31日を予定。
 武田コンシューマーヘルスケアの2020年3月期の売上高が608億9700万円、営業利益が128億1900万円、経常利益129億6600万円、純利益86億5400万円と、堅調な業績であったことも公表された。

 今回の株式譲渡に関して、武田薬品工業代表取締役社長CEOのクリストフ・ウェバー氏はホームページで長文のコメントを発表。「日本で『タケダ』といえば、ほとんどの方がTCHC社のトップブランドであるアリナミンを思い浮かべるほど、お客様からの信頼を得て強いブランドを築いています」などど語り、日本市場への影響の大きさに配慮していることがうかがえる。

 ウエバー氏のコメントは以下の通り。
〝当社は、当社の子会社である武田コンシューマーヘルスケア株式会社(TCHC社)が展開する国内を中心としたコンシューマーヘルスケア事業を、世界有数の投資会社であるBlackstone へ譲渡することを決定しました。この件について、その重要性および私自身の想いを説明させていただきます。

日本で「タケダ」といえば、ほとんどの方がTCHC社のトップブランドであるアリナミンを思い浮かべるほど、TCHC社はお客様からの信頼を得て強いブランドを築いています。その歴史を振り返ると、タケダは1954年に日本で初めてビタミンB1誘導体製剤としてアリナミンの販売を開始し、それまで日本の国民病とされていた脚気の克服や、第二次世界大戦後の食料難からくる人々の栄養不足を改善することに大きく寄与しました。それから70年間近く、アリナミンはドリンク剤の開発も経て、時代と共に多様化する人々の疲れを癒すべく、日本およびアジア市場において成長を続け、タケダの歴史と共に歩みを進めてきました。私自身も、これまでに何度も神戸にある武田史料館を訪問して、アリナミンにまつわる多くのストーリーを見聞し、タケダの歴史においてこのブランドがいかに重要な役割を果たしてきたかということを強く実感しています。

このように長年にわたり培ってきた、お客様からの信頼を得て強いブランドを築いている日本のコンシューマーヘルスケア事業を譲渡することは、TCHC社の従業員にとってはもちろんのこと、当社の日本の従業員やこれまでのタケダを作り上げてきた先人にとっても非常につらいことですし、私自身にとっても非常に困難な決断です。

しかし、日本の人口減少や健康食品との競合などにより、日本のコンシューマーヘルスケア市場における競争は近年ますます激しくなっています。そのような中、コンシューマーヘルスケアビジネスを展開するTCHC社には、市場への即応性を高め、B-to-Cのビジネスモデルにふさわしい戦略と体制をさらに強化していくことが求められています。コンシューマーヘルスケア事業は、タケダの戦略においては重点領域外になってしまうことに加え、日本のコンシューマーヘルスケア事業の売上比はタケダ全体の約2%に留まっており、その比率は近年減少を続けています。TCHC社を成長させるには多額の投資が必要ですが、タケダが5つの主要なビジネスエリアで革新性の高い医薬品の創出に注力していることを踏まえると、優先度高く投資していくことが難しい状況下にあります。そこで、TCHC社の持つ高い可能性を最大化し、「健康でありたいと願うお客様に対して、優れた製品と情報提供を通じ、人々の健康に貢献していく」という同社のミッションを今後も確実に実現していくためには、ヘルスケアのビジネスモデルを理解し、ブランド、事業、組織・人の成長に戦略的に投資でき、かつ当社が信頼を寄せることができるパートナーに託すのがベストであると決断しました。候補先の選定にあたってはこの点を最優先に、慎重に検討を重ねて今日の決定に至っています。

Blackstoneは、製薬セクターを中心としたヘルスケア業界への投資の豊富な実績を有し、大企業への投資でも数多くの成功を収めています。ヘルスケアおよびコンシューマー関連の専任チームを擁し、リテールマネジメント、ブランド拡大、eコマース、コンシューマー分野で経験豊富なアドバイザーによるサポートの提供と、TCHC社の中長期的なビジネスの成長にコミットしています。Blackstoneとのパートナーシップにより、TCHC社が独立した企業グループとして迅速かつ柔軟な意思決定を行うことで市場ニーズに即応することが可能になり、TCHC社の製品ブランドのより一層の成長および同社のさらなる発展に繋がるものと確信しています。

もちろん、大きな変革を行うときは必ず痛みが伴います。しかし、その困難を乗り越えなければ、事業の持続的成長という未来を実現することはできません。当社は、2017年に当社が保有する和光純薬工業株式会社の全株式を富士フイルム株式会社に譲渡しましたが、この決断も非常に困難なものでした。その後、和光純薬は富士フイルム和光純薬株式会社として、同社の成長に戦略的な投資ができるパートナーと共に成長を果たして順調に売上高を伸長させると共に、現在、時代に即応し、新型コロナウイルスの検査キットや試薬を開発しています。今回の譲渡契約は決してレバレッジの低下を加速させるための取り組みなどではなく、TCHC社の成長を加速させるために慎重に検討を重ねた結果の苦渋の決断です。

タケダは、今後も日本の、そして世界中の患者さんの人生を大きく変えることができるような革新的な医薬品をお届けすることに注力していきます。その道のりを、私自身が先頭に立ち、タケダのバリューに沿って誠実に歩んでいくことをお約束します。〟

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