「報酬や賃金が法定価格に基づく医療・介護・保育・福祉の現場で働く方々の賃上げ極めて重要」/本田議員
本田顕子参議院議員の代表質問は以下の通り。
“
デフレ経済からの完全脱却が視野に入ってまいりましたが、それと共にエネルギーや食品等の価格が上昇し賃上げが追い付いていない状況が続いています。
エンゲル係数が高まるようになると、低所得世帯にとっては厳しさが増してきます。
今回、石破内閣が掲げた経済対策にある「誰一人取り残されない成長経済」を実現するには目先の厳しさを和らげる措置と併せて、事業者規模や正規・非正規を問わず物価高を吸収できるだけの賃上げが広がる施策が不可欠です。そのためには産業界全体をひとくくりにして賃上げ状況を捉えるのではなく、事業規模や産業ごとにもきめ細やかに目を配り国民一人ひとりが確かに手取りが増えたと実感できる誰も取り残さない賃上げを主導すべきではないかと考えますが、総理のご所見をお伺いします。
物価高に負けない賃上げの実現にとって極めて重要なのは、報酬や賃金が法定価格に基づく医療・介護・保育・福祉の現場で働く方々の賃上げです。
令和6年度の報酬改定では医療分野は賃上げ対応分を0.88%の引き上げがなされ、医療現場も一定の評価をしているところでありますが、現下の長引く物価高騰に追いつく十分なものとはなっていないというのが現実です。
これらの分野で働く方々には国民の皆様の命と暮らしを守る大切な職場を支えていただいています。
しかし、公定価格の下で働くがゆえに処遇がままならず、エッセンシャルワーカーとして医療機関や薬局・施設などで働く国家資格を有する人材が他分野に流出しています。
国民の皆様に寄り添い安心な暮らしを提供している現場が機能しなくなるのではないかという不安を覚えます。過日、三原担当大臣は給与の低さから人材の確保に悩まされている保育士等の処遇改善について人件費を過去最大となる10.7%引き上げると打ち出しました。医療介護等についてはどのように取り組んでいく方針でしょうか。また保育の処遇改善も現場の保育士に確実に行き届くような仕掛けが必要だと思いますがどのように取り組んでいくのでしょうか。
わが国の健康長寿社会を支える大切な医療介護保育福祉の現場を守るために直ちに大胆でかつ十分な賃上げを実現する手立てを講ずるべきと考えますが、総理の決意とご所見をお聞かせください。
薬価中間年改定「四大臣合意にはPDCAを重視とはっきりと記されている」/本田議員
医療分野の人材同様、国民の命と健康を守る医薬品についても安定的な供給ができるように持続可能性を高めていかなければなりません。ここ数年、医薬品について懸念すべき事が複数生じており、多くの県議会や市議会などから医薬品の安定供給確保を求める意見書が参議院のほか、政府にも提出されています。その一つは医薬品の供給不足が長引いていることです。ジェネリック医薬品企業の品質問題などに端を発していると言われておりますが、その後、薬業界各社は増産や在庫調整などに努力を重ね、医療現場に迷惑をかけぬように、そして患者への必要な医療提供に支障をきたさないように取り組んでいただいております。しかし、薬価の度重なる引き下げにより、製造すればするほど、あるいはニーズに応じて迅速に届けようと努力すればするほど、赤字になるような状況となれば、医薬品製造業者や医薬品卸売販売業者の持続性は維持できません。
もう一つは医薬品の開発競争への対応の遅れです。がんや免疫性疾患などで国際的に開発競争が激化している中、市場に投じた製品で研究開発費を回収できなければ、次なる研究開発に回す資金を確保できなくなり、結果として国際競争に敗れ、我が国の医薬品製造分野の稼ぐ力は著しく低下することとなります。すでにわが国の医薬品開発力が諸外国から遅れをとっているのではないかという指摘は、コロナ禍の中でのワクチンや治療薬での開発競争の際にありました。その理由の一つは日本の製薬企業の創薬に対する研究費が海外の企業と比べると一桁低いというところにあるとも言われます。
二年に一度の診療報酬の改定と同時に行われる薬価改定の間に、消費税引き上げに伴う薬価改定時の実質マイナス改定、そしてその後の二度の中間年改定が行われた結果、7年連続で薬価が改定されたことが医薬品産業の持続可能性に影響をもたらしたと考えます。
本日午前に薬価調査の速報値が示され、平均乖離率は前回よりさらに縮まり約5.2%なり、これ以上は困難なレベルに達しました。
そもそも平成28年12月に決定された薬価制度の抜本改革に向けた基本方針、いわゆる四大臣合意は革新的かつ非常に高額な医薬品に対して薬価制度が柔軟に対応できておらず国民負担や医療保険財政に与える影響を懸念すると書き出してはおりますが、加えて薬価制度の抜本改革に向けて、PDCAを重視とはっきりと記されています。そのことからすれば、中間年改定が医薬品産業の持続可能性や成長、さらには安定供給や研究開発などに与えてきた影響評価を行うべきだと考えます。その上で薬価のあり方については国民の命と健康を守ることに最も重きをおいて、イノベーションの推進や安定供給の確保、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえつつ、医薬品開発及び製薬産業自体の持続可能性と予見性、そして成長発展に最大限の配慮を払うことが極めて重要だと考えます。四大臣合意の時期と今とでは、経済情勢や薬の供給状況などが全く異なる現状において、中間年改定は廃止を含め見直す時期にあり、産業界に与える影響を検証する間は見合わせるべきです。石破総理にはこれらについてのご所見をお伺いします。
「創薬エコシステムのための官民による具体的な議論を開始する必要ある」/本田議員
災害時の対応を含め、都市部・過疎地・離島など全国津々浦々、毛細血管のように医薬品流通の要となり医療機関・薬局を支えておられるのは医薬品卸売販売業者の皆さまです。この卸の皆様の存在なしに薬を必要とする患者さんに薬を届けることはできません。能登半島地震や熊本地震でもそして全国で多発する自然災害の発災直後から現地の医薬品卸社員が自身も被災しているにもかかわらず、各自治体や関係団体などと連携して医薬品の流通体制確保に努め、被災地の医療機関や薬局に速やかに医薬品の供給を行い被災エリアにおける医療体制をしっかりと支えていただいております。
被災地では高齢者が多く常備薬が欠かせない方々が多い中、災害関連死の防止に大きく貢献したものと思います。
かつて地下鉄サリン事件が起きたときは、解毒のための薬の備蓄状況を調べ在庫を確認し、新幹線でリレーつなぎに運び、現場に届けていただきました。まさに平時有事を問わず人々の命と健康を支える医薬品を安定供給する重要な役割を果たしていると言っても過言ではありません。
そこで総理に医薬品卸売販売業者の役割である安定供給機能の確保についてどのような見解をお持ちなのかお伺いいたします。
いまだに十分な治療薬や治療技術が開発されておらず有効な治療法を待ち望んでいる患者さんとその家族の方々がおられます。
本年7月総理官邸で創薬エコシステムサミットが開催され、私も当時文部科学大臣政務官として出席致しましたが、岸田総理から今回のサミットは我が国の創薬力を向上させて最新の医薬品を国民に届けるための出発点であり医薬品産業を我が国の基幹産業とし日本を創薬の地に創薬の地とするとのご発言がありました。治療法を待っている方々に希望の光を届ける力強い発言だったと思います。革新的な新薬や医療機器などを創出することは高水準の医療等の提供につながり、国民の皆様に大きな恩恵をもたらすことになります。さらに特許期間が切れた後もジェネリック医薬品として安定的に供給されることにより、医療や医療保険制度の持続性の確保にもつながります。この好循環を持続させるためのカギを握るのは、常にイノベーションをもたらすための環境整備であり、独創的かつ先端的な技術やアイデアを挑戦的に実用化に近づけるスタートアップの存在と、イノベーションに対する最大限の評価です。
すでにわが国では官房長官直轄の健康医療戦略推進本部を司令塔として、日本医療研究開発機構AMEDと関係府省とが連携する研究開発体制が整っています。
そこで極めて激しい新薬開発競争に向けて、できるだけ早期に創薬エコシステムを機能させていくための官民による具体的な議論を開始する必要があり、さらに創出されたイノベーションの実臨床で使用する際の安全性や有効性を科学的に評価するPMDA、医薬品医療機器総合機構の体制の不断の強化・充実が必要と考えますが総理のお考えをお伺いします。
「薬教育の必要性への理解促進やオーバードーズの低年齢化を踏まえた小学生向けの学習指導要領の追加などの対策も必要」/本田議員
新型コロナウイルスが世界中に広がり深刻さを増していた頃、ワクチンを外交上の手段として影響力を及ぼそうとする動きが見られました。令和4年に成立した経済安全保障推進法では、特定重要物質として抗菌性物質生産が指定され、その安定供給確保に取り組む民間事業者等を支援することを通じて特定重要物質のサプライチェーンの強靭化を図ることとなっており対策が進められています。
しかしながらこの他にも輸液、小児にも使える解熱薬や咳止め薬など国民の生存に必要不可欠な、または広く国民生活経済活動が依拠している医薬品は存在していますし、治療上必要な重要薬剤の供給不安が現場に影響を与えていることが判明しています。
国内で医薬品を供給する企業の多くが製品の原料となる基本的な物質、いわゆる原薬の調達を海外企業に依存、あるいは自社であっても海外の工場で生産し輸入している実態があります。そのため海外メーカーの生産中止や自然災害、さらには各国の対日政策により国内で必要な医療提供体制に支障が生じるリスクをはらんでいます。
そこで政府においては関係企業との協議を重ねて、現実的な重要薬剤の安定確保に向けた戦略を作り上げていくべきではないでしょうか。総理のご所見をお聞かせください。
近年、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬の意図的な過量使用、いわゆるオーバードーズによって健康被害が生じた事故や事件が報告されています。SNSなどを通じて知り得た情報による乱用と思われますが、その背景には生きづらさがあると言われており、それも含めて社会全体で対策を講じオーバードーズに陥る実態を止めなければなりません。
現在、過量に使わせないための取り組みとして厚生労働省で薬機法改正も視野に入れた検討が進められていますが、同時に過量使用してはいけないことへの理解を促すための教育と啓発の充実のためには、薬教育の必要性への理解促進やオーバードーズの低年齢化を踏まえた小学生向けの学習指導要領の追加などの対策も含め求められるのではないでしょうか。
薬を正しく使うことの理解が深まることで自らの健康づくり、セルフメディケーションの推進にもつながります。併せてつらい気持ちや生きづらさを感じている若者に寄り添うような相談体制も必要です。未来ある子どもたちを守るために関係する府省や団体が連携しながら市販薬の過量使用対策を講じていくことが必要だと考えますが総理のご所見をお伺いします。
「医療機関の電子カルテの標準化とともに薬局の調剤録や薬歴情報の標準化が等しく求められる」/本田議員
医療分野のサービスの効率化や質を向上させ、国民の皆様に最適な医療を提供する医療DXはわが国の医療の将来を大きく切り開いていく可能性を持っており、政府は全国医療情報プラットフォームの創設や電子カルテ情報の標準化などの推進を打ち上げていますが、その実現には医療機関をはじめとする医療情報を保有・使用する関係施設においてシステム環境が互換性を有していることが不可欠です。
同時に入院外来または在宅、それぞれで医療が提供されていることから、特に外来の約8割の薬物治療が院外処方に基づいて行われている現状に即したDX化を切れ目なく進めていかなければなりません。そのためには医療機関の電子カルテの標準化とともに薬局の調剤録や薬歴情報の標準化が等しく求められることとなります。
そこで医療のDX化を効果的なものにする上で不可欠な薬局DXをどのように進めていくお考えでしょうか。福岡厚生労働大臣にお伺いします。
「防災庁設置に向け準備を急ぐようお願い」/本田議員
私の居住区熊本県では、女性の社会参画の加速化に関する要望を受けて、地域の取り組みを幅広く継続的に支援する制度が充実されました。
国においても女性による新たな発想から生まれるイノベーションが地域経済を活性化するとの期待から新たな基金の創設など、継続的・安定的に女性の社会参画を加速していくための積極的な取り組みが求められています。
そこで子ども・子育て政策、そして女性活躍政策の双方について更なる連携を図り少子化の克服、周囲のサポート体制、そして女性の社会参画の三つを強力に進めていってはどうかと考えますが、三原担当大臣のご見解をお伺いします。
間もなく令和六年が過ぎ新しい年を迎えることとなります。家族で新年を祝う穏やかな元日を突然襲った能登半島地震から一年を迎えます。
さらに本年9月には被災の傷跡といえない奥能登を記録的な豪雨が襲いました。これらの災害によりお亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の誠を捧げます。輪島市や珠洲市では今なお避難所生活が続いています。
重ねて政府には能登半島の復旧・復興に引き続き全力で当たっていただきますようお願い申し上げます。石破総理は、能登半島地震や豪雨から得た教訓を踏まえるとともに、被災者の方々の声を生かした施策を実行していくために防災庁設置準備室において、防災庁設置に向けた着実な準備を進めていかれると述べられました。
気候変動に伴う自然災害の激甚化・頻発化が顕著となっております。これらを念頭に置いた防災・減災・国土強靱化対策がますます重要となりますので、設置に向けた準備を急ぐようお願いいたします。
同時に、平成28年の熊本地震の時に感じましたが、早急に進めるべきは一刻を争う救命救急活動や避難物資の搬入、緊急復旧、早期の復興のために不可欠な、緊急時の情報伝達手段の確保、そして被災時を想定した道路ネットワークの整備です。
その一つとして、九州の東西軸の強化につながり、災害時に安定的な輸送を確保する命の道となる九州中央自動車道の計画的かつ着実な整備の促進を強くお願いしたいと思います。
その一方、かつての公共工事の削減で体力を消耗した地方の建設業は、そこからの回復に至る前に、最近の資材価格の高騰や建設技能労働者の賃金上昇、高齢化や働き方改革に伴う人手不足などにより、厳しい環境の中に置かれています。しかし、建設業関係の皆様の存在なしに、災害時の復旧・復興も、防災・減災・国土強靱化の加速化もありません。これらのための予算の更なる確保とともに、命を守り、地域と国土を守る地場の建設事業者の振興にどのように取り組んでいかれるのか、石破総理のご所見をお伺いします。
「パンデミック条約、国際的な感染症対策の強化に向けて、国益を守りつつ、建設的に参加し、貢献していくことが望ましい」/本田議員
地球温暖化がもたらす災いは、自然災害の激甚化・頻発化だけではありません。
農作物の成長への影響やそれに伴う需給のひっ迫と価格の上昇などのほか、過去に例がないほどの猛暑による熱中症の多発、そして蚊などの媒介生物の増加などによる感染症まん延リスクの増大なども懸念されます。特にグローバル化が進む現代においては、衛生インフラが整っているわが国では発生しなくとも、温暖化による干ばつや洪水、あるいは水温上昇が不衛生な地域での感染症の発生頻度の増加をもたらし、それが世界中に広がるおそれもあります。
そこで、国連の持続可能な開発目標・SDGsの目標3に謳われている、あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活の確保と福祉の促進、に向けて、地球温暖化がもたらす人の健康への影響、とりわけ感染症まん延リスクにどう対処していくお考えでしょうか。総理にお伺いします。
感染症の世界的な流行リスクが増していることから、わが国だけではなく、国際的に連携しながら、将来のパンデミックの予防、備え及び対応を強化していくことが必要となります。国際的な人の移動、ものの移動がより活発になる中、一国だけで、感染症を抑えたとしても、完全にくい止めることは困難です。先進国と途上国との間で対策に格差が生じることは避けなければなりません。
新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した際、わが国はWHOなどによるワクチンの共同購入・分配の仕組み「COVAX(コバックス)ファシリティー」に貢献し、「ワクチン・ナショナリズム」を抑制する方向で努力しましたが、一方では、ワクチンを外交上の手段として他国に影響を及ぼそうとする動きもありました。
そこで、感染症による世界的な健康危機の際、医薬品を巡り、世界で分裂と分断が進み、結果として、大勢の人の命が失われたり、安全保障上の脅威が高まったりすることがないように、現在、WHOで交渉されているパンデミックの予防、備え及び対応の強化のための国際的規範づくり、いわゆるパンデミック条約について、わが国としては、国際的な感染症対策の強化に向けて、国益を守りつつ、建設的に参加し、貢献していくことが望ましいと考えますが、総理のご所見をお伺いします。
「科学、技術、工学、数学の領域を指すSTEM分野の卒業・修了生に占める女性の割合がOECD加盟国38カ国で最下位」/本田議員
私の質問の最後として、これからの日本の発展を担う人材と教育についてお伺いしたいと思います。
人工知能AIやビックデータ、IoTなどの急速な技術の進展により社会が激しく変化している今日では、デジタルなどの優れた専門人材がその国の成長力を左右するとも言われており、従来の文系・理系といった枠にとらわれない学び方が求められるようになっています。
しかし、わが国では、これまで、「男性は理系、女性は文系」といった固定的な考え方が存在してきたことで、科学、技術、工学、数学の領域を指すSTEM分野の卒業・修了生に占める女性の割合がOECD加盟国38カ国で最下位となっています。
理数系科目の成績については、国際的に、男女差での傾向の違いは見られず、生物学的要因や生まれつきの能力の差によるものではないこともわかっています。
固定概念にとらわれず、女性自らが進みたい、活躍したいと思う分野で学べるようにすることは大切です。
そのためには、民間企業と連携し、理工農分野における女子学生の修学、卒業後の継続的な学習と活躍機会の確保に関する支援、さらにはロールモデルによる理系の魅力の発信などの取組はもちろんのこと、そもそも周りの人々の根強い思い込みや、身近にいる人生の先輩からの固定的な助言など、周囲のマインドを変えていくことが必要ではないでしょうか。
そこで、わが国の成長力、国際競争力は、女性のSTEM分野への進出が左右するという思いで、石破総理には、その後押しに全力で取り組んでいただきたいと考えます。この点について、総理のご所見をお伺いして私の質問を終わります。
ありがとうございました。
”
「令和六年度報酬改定において講じた職員の処遇を改善するための措置を確実に」/石破首相
石破首相の答弁は以下の通り。
“
本田顕子議員のご質問にお答えいたします。
賃上げについてでございます。
家計を温めるためにも物価上昇を上回る賃金上昇を実現していく必要がございます。そのためには中小企業をはじめとした事業者の皆様方が物価上昇に負けない賃上げをしていただけるよう円滑かつ迅速な価格転嫁をすすめ、省力化・デジタル化投資などを促進することが極めて重要であります。
その際、本田議員ご指摘の通り、業種ごとの賃上げ率は様々でございます。業種別にきめ細やかに対応していくことが必要であります。例えば医療・介護・障害・福祉分野につきましては、令和六年度報酬改定において講じた職員の処遇を改善するための措置を確実にお届けし、賃上げを実現いたしてまいります。
労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針に基づく取り組みを徹底致しますため、本年末までに所管官庁が業界団体と連携し、指針の遵守状況についての実態調査、およびその結果に基づく改善措置を完了させます。
さらに事業者の生産性向上を図りますため、事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイド型の省力化投資を支援致しますと共に、人手不足感の強い業種ごとに事業者の省力化投資を促進するための具体的プランを早急に策定を致して参ります。
医療介護福祉分野につきましては、今年度の報酬改定において賃上げのための措置を講じており、これが最大限に活用されますよう提出書類の簡素化や幅広い周知に取り組んでいるところでございます。
加えて今般の経済対策におきましても、生産性の向上や職場環境の改善などさらなる賃上げを目的とする支援策を盛り込んでおります。保育分野につきましてはご指摘の通り、今般の経済対策に大幅な処遇改善を盛り込んだところでございます。今後、この措置が迅速かつ確実に事業主から保育士に行き渡るように実績報告を求めますとともに、保育所などの給与状況を明らかにするなど、経営情報の可視化見える化についても進めて参ります。
薬価中間年改定「骨太方針2024を踏まえ適切に対応」「令和六年度薬価改定が医薬品の安定供給や研究開発に与える影響を把握」/石破首相
薬価制度につきましてはイノベーションの推進と国民皆保険の持続性確保の両立を図る観点が重要であり、令和七年度の薬価改定につきましてもこうした考え方に基づく骨太方針2024を踏まえ、適切に対応致してまいります。
なお中央社会保険医療協議会の付帯意見にもあります通り、令和六年度薬価改定が医薬品の安定供給や研究開発に与える影響を把握することは重要であり、その把握に向けて製薬業界とも意見交換を行って参ります。
医薬品卸売販売業者の安定供給機能についてでございます。医薬品卸売販売事業は、全国の医療機関や薬局に対しまして必要な医薬品を迅速かつ確実に供給する役割を担っており、我が国の医療を支える重要なインフラであるというふうに考えているところでございます。平時のみならず災害などの緊急時におきましても自治体などからの要請を受け、必要な医薬品を迅速に配送いただいており、国民の命と健康を守るうえで重要な役割を果たしていただいていると認識を致しております。引き続き医薬品卸売販売業者の皆様方と連携をいたしながら、必要な医薬品の安定的な供給に取り組んでまいります。
この認識のもとで取り組んで参りますが、実際にそのような災害の時に医薬品卸の皆様方が果たしておられる役割、私、現場で体験をしたことがございます。私自身、民間企業で働いておりました時に、このような業者さんがおられるところで働いておりました。日本橋本町というところでございます。引き続き、理解に努めてまいりたいと、かように考えているところでございます。
創薬の支援体制強化についてでございますが、我が国の創薬力の強化を図ることは極めて重要な課題であると認識を致しております。
そのためには大学や製薬企業等が相互に協力していくこと、これが極めて重要でございます。令和六年度補正予算案におきましてもこうした創薬エコシステムの発展に向けたスタートアップ支援等に必要な予算を計上したところでございます。来年度には官民協議会を設置し更なる具体的な政策の方針や進捗状況について関係者と議論を行うことを検討しております。
また革新的医薬品などの研究開発に対して積極的に相談支援を行うため、医薬品などの承認審査を行うご指摘のPMPAの体制強化に努めてまいりたいと考えております。
重要な医薬品の安定確保に向けた戦略についてでございますが、医薬品の供給が滞りますことは国民生活に重大な影響を及ぼし得るものであり、経済安全保障の観点から国外からの供給が滞るリスクも踏まえた戦略的な医薬品製造を進めることが必要でございます。
このため関係業界とも協議を行ないつつ、国内の生産基盤の整備や医薬品の供給源の多様化に取り組む企業への支援などの取り組みを進めてまいります。
若者による医薬品の過量使用対策についてお尋ねを頂戴致しました。市販薬を定められた用量以上に使用する、いわゆる過量使用につきましては若い世代の健やかな育成などの観点から大きな問題であると承知を致しております。政府といたしましては、過量使用の恐れがあります市販薬の販売制度の見直しについて検討を進めますとともに、学校教育において小学校段階も含めて薬物乱用防止に関する指導を充実してまいります。
また過量使用の背景にあるつらい気持ちや悩みを抱える若者などを対象とした相談体制についても整備を進めていくなど、引き続き関係省庁と団体との連携も図る中で委員のご指摘を踏まえ市販薬の過量使用対策を講じて参ることといたします。
公共事業予算の確保と地場の建設事業者の振興についてでございますが、令和六年度補正予算案におきまして令和七年度までの5カ年加速化対策分に加え資材価格の高騰などを踏まえた別枠の緊急対応枠など、道路ネットワークなどの社会資本整備を含め合計約2.4兆円の公共事業費を盛り込むことといたしております。
建設業はインフラ整備や災害時の応急対策などを担う地域の守り手であり今後もその役割を果たしていただかなければなりません。このため安定的持続的な公共投資を推進致しますとともに、適正な労務費の覚悟や価格転嫁、働き方改革、生産性向上を促進することなどにより、担い手の確保に取り組んでまいります。
地球温暖化が人の健康に及ぼします影響と致しましては、熱中症の増加のほか熱帯地域で流行している蚊を媒介とする感染症が地域を拡大して蔓延するリスクなど、国民生活に影響を及ぼす重要な課題であると認識を致しております。
このため気候変動による気候への影響に関する科学的知見の更なる集積に取り組みますほか、国内外の感染症の発生動向の把握、感染症危機への備えをより万全にするための体制強化、および感染症の専門人材の育成など必要な取り組みを行ってまいります。
パンデミック条約についてでございますが、新型コロナウイルス感染症のような世界に甚大な影響を与える感染症に対しましては国際社会が一致して対応する必要がございます。
いわゆるパンデミック条約につきましては、政府として感染症危機への対応を構築、強化するというその目的に賛同致しております。日本の国益を確保する上でもパンデミックの予防、備えおよび対応に資する国際的な規範を整備し、強化することは重要であると考えております。引き続き交渉におきまして、わが国を含む各国の主権の尊重を大前提としつつ、我が国の経験や知見を踏まえ建設的に議論に関与していく考えでございます。
女性のSTEM分野、いわゆる理数系の分野での活躍についてのお尋ねを頂戴致しました。ご指摘の通り、日本経済の活力を高めますためには、多様な視点や発想を取り入れた科学技術、イノベーションの推進が重要であり、それに向けて女性の理工系分野における活躍の機会を拡大していくことは重要でございます。
一方で女性にとって理工系分野に進学後の将来に関する情報が不足しておりますことや理科と数学が好きではない女子児童生徒が男子に比べて多いことなどが女性が理工系分野に進まない要因と指摘されております。
このため理工系分野への学部転換や情報系分野の増員を行う大学を支援する場合には女子学生の確保に向けた取り組みを行うことを求めております。今般の経済対策において大学が民間企業などと連携して理工系分野における女子学生の修学支援や卒業後の活躍機会の確保を行っている好事例の発信、中高生に理工系の魅力を理解していただくための研究者との交流機会の提供などに取り組むことといたしております。こうした取り組みを進めますことにより、理工系分野で女性が活躍できる環境の実現に鋭意取り組んで参ります。
残余の質問につきましては関係大臣から答弁を申し上げます。
”
福岡厚労相「医療DXを真に有効なものとして推進していくためには、薬局情報のDX、標準化が不可欠」
福岡資麿厚生労働大臣の答弁は以下の通り。
“
本田顕子議員から薬局DXについてお尋ねがありました。
薬局DXにつきましては骨太の方針2024におきまして、調剤録等の薬局情報のDX、標準化等の検討を進めるとされているところでございます。
現在、厚生労働省の検討会におきまして、患者さんの服薬状況などの薬局が有する情報の医療機関等への共有範囲や共有方法等の検討を行っているところでございます。
医療DXを真に有効なものとして推進していくためには、薬局情報のDX、標準化が不可欠であるというふうに考えておりまして、医療DX全体の進捗も踏まえ検討を進めてまいります.
”