寄贈した岐阜薬科大学のモバイルファーマシーが珠洲市で稼働
説明会の冒頭、ウエルシアホールディングス社長の松本忠久氏は今回の能登半島地震について触れ、「被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。また被災地などで復旧支援などの対応に当たっている方々に深く敬意を表します。現地ではドラッグストアにも商品を求めて多くのお客様が来店されています。当社店舗も地域インフラとしての役割を果たせるよう最大限努めているところであります。被害に遭われた方々、また現地で復旧対応に当たっている皆様が一日でも早く少しでも状況が改善されるよう当社も尽力してまいります」と述べた。
同社店舗も地震の影響で石川県の珠洲野々江店が営業を見合わせているほか、羽咋南中央店と七尾和倉店では営業時間を9:00~18:00に変更している。
支援状況については、同社では珠洲市や厚生労働省からの要請に従い、食料品やカイロ、衛生用品、また薬剤師会と協働して医薬品の提供などの支援を開始しているとした。さらに同社が寄贈した岐阜薬科大学のモバイルファーマシーが珠洲市で稼働しており、同社の薬剤師も活動に参加しているとした。
今回の地震による同社の業績影響は軽微な見込みという。
敷地内薬局めぐる改定で質疑も
同社2024年2月期 第3四半期決算は、検査キットを中心としたコロナ関連需要の反動減などで、利益は計画・前年ともに未達となった。売上9104億6000万円(前年同期比+7.6%)、営業利益 311億00万円(同△1.2%)、 342億9500万円(同△6.2%)、203億8200万円(同△3.6%)となった。
調剤事業に関連しては、訪問服薬指導の拡充方針を強調。「地域で介護を担う機能がより求められていく中で地域の健康ステーションの機能の一つとしてウエルシアの薬剤師に訪問してほしいと望まれるよう薬剤師教育を拡充するとともに訪問サービスの認知度向上に取り組んでいく」とした。調剤報酬改定の議論に対しては、「次の報酬改定・薬価改定のあらましが伝えられ、調剤薬局の併設率が約76%の当社に対しても調剤事業の先行きにさまざまな見方がされていることと思います」とした上で、「前回の大手チェーンに対する調剤基本料のマイナス改定となった改定の中、在宅訪問をはじめとし、今後調剤薬局に強く求められる地域での役割に取り組むことにより、調剤の粗利益率低下を最小限に抑えてきました」とした。「地域医療への貢献を志す薬剤師人材を擁しておりこれは当社の将来を支える強力なリソースです」と述べた。
アナリストから敷地内薬局への改定に見解を求める質問が出ると、取締役副社長の中村 壽一氏は、「1月後半にならないと最終的な改定は決まりません。今決まっているのはプラス改定ということ。敷地内薬局についてはわれわれが今、どうこう言える状況ではございませんのでここはご容赦いただければと思います。大きな考え方としては、例えば今年4月からも(前回改定の)経過措置が終わって我々のところは相当厳しい状況ではありますけれども、地域支援体制加算においても(加算取得率は)やはり着実に毎月間違いなく増えてきておりますので、こういうリカバリーの仕方において利益率減少を抑えていく。これは中期のトレンドでも間違いなく調剤のところは粗利はもう下がるという想定で我々、ビジネスは組み立てております。その範囲内で来期は対応できるのかなというふうには考えてございます」とした。