【中医協_感染症対応】日薬・森委員「感染症に備える薬局の支援を」

【中医協_感染症対応】日薬・森委員「感染症に備える薬局の支援を」

【2023.12.06配信】厚生労働省は12月6日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、感染症対応についてを議題とした。


協定締結薬局の要件を満たすためには感染対策の研修訓練やオンライン服薬指導、夜間休日対応等の体制整備が必要

 日本薬剤師会副会長の森昌平氏は薬局における感染症への対応について、感染症の治療に医薬品の提供は不可欠であり薬局は感染症の治療に必要な医薬品の備蓄も含め、平時から適切な感染対策の体制を整備しておくことが必要であり、自宅・高齢者施設等での療養者の対応のために病院・診療所等との連携体制を構築しておくことが必要との見解を示した。

 また、薬局の取り組みについては、コロナ下の状況では感染症発生当初の段階から夜間休日も含めて消毒薬・マスクの他、解熱鎮痛薬などの市販薬、 抗原検査キットの提供を担い、ワクチン接種への協力、無料検査事業にも協力してきたと説明。今回のコロナ感染症を振り返ると、将来の新興感染症への対応として、オンライン服薬指導の体制整備を進めていくことも必要との見方を示した。

 加えて、薬局では医療機関を受診した患者が来局するタイミングがさまざまであるために、時間分離を行うことが難しく、薬局の構造上、患者の動線を分けることは難しいため、コロナ陽性疑い患者への対応用のスペースの設置や、外に受付待合スペースを設置するなどの工夫で対策を行っていると紹介。

 事務局論点の新興感染症蔓延時における医療及びその備えに対する評価については、第8次医療計画において新興感染症の発生・蔓延時や災害等においても必要な医療が提供できる体制の整備を進めることとなっていると指摘。改正感染症において都道府県知事と協定を締結した薬局は、医療機関や事業所間で連携しながら自宅療養者等への医薬品対応を行うことになっているとしたほか、協定締結薬局の要件を満たすためには感染対策の研修訓練やオンライン服薬指導、夜間休日対応等の体制整備が必要であり、このような感染症への対応の備えを行っている薬局を支援するための評価が必要だとの見解を示した。

感染症対応として訪問薬剤指導は「恒常的な評価が必要」

 新興感染症以外の感染症に対する医療の評価については、コロナ特例での評価として、外出ができないため来局困難な患者には薬剤師が自宅まで訪問し必要な医薬品を提供して指導していることについて、臨時的な特例として報酬上での評価されているものの、今後の感染症対策を考えた場合、今回の新型コロナのように患者の行動に制限がかかるなどの理由により自宅を訪問し必要な医薬品を提供して指導する必要がある場合の評価については、恒常的な評価が必要と要望した。

薬剤耐性対策、薬局での取り組みも重要/お薬手帳の活用など

 薬剤耐性対策に対する評価については、薬剤耐性獲得を防止するために、患者は抗菌薬を医師の指示通りに服用する必要があり、薬局では患者が抗菌薬を適正に使用できるように必要な指導や支援を行っていると説明。服薬管理においては服用歴・副作用歴なども含めた情報連携ツールとなるお薬手帳の活用も有効なものだと指摘した。このような薬局での取り組みを進めていくことも適切な抗菌薬の使用促進において重要な視点との見解を示した。
 また、医療機関では薬剤師が医療機関の抗菌薬適正使用支援チームに参加して感染防御を通した安全安心かつ適切な薬物治療の提供や必要な環境の提供に貢献するとともに感染症治療に関わる適切かつ安全な薬物治療に取り組んでいると説明。日本病院薬剤師会では感染制御専門薬剤師の認定制度を構築し、これらの対応を推進していることも紹介した。その上で、これらの取り組みについても、適切な抗菌薬の使用促進において重要な視点だと訴えた。

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