日薬・荻野氏が指摘したのは、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の2つにおける薬剤管理の課題。
まず、特別養護老人ホーム(特養)の薬剤管理については、現状、末期の悪性腫瘍利用者に対して、介護保険の居宅療養管理指導費ではなく、医療保険の対応として、施設職員を介しての指導を行っていると説明。しかし、施設職員を介しての薬剤管理は、施設職員の負担増になってしまう場合があるとの問題点を指摘した。その上で、「職員の負担軽減や適切な薬剤管理、薬剤の一元的管理の観点から、薬剤師と特養の医師との連携が必要と考える」と主張した。
さらに、悪性腫瘍利用者への緩和ケアについては、介護保険の居宅療養管理指導費では月8回まで認められていると説明。週に2回までとされているため、緊急時対応が必要な場合があっても、必ずしも対応できないものもあると指摘。そうしたことから、「そのような場合にはもう少し柔軟な対応が可能となるように整理が必要と考える」と述べた。緩和ケアでの医師等、多職種との連携については、患者・家族への医療麻薬への正確な理解、副作用等の面で、適切に行うためにも重要だとした。
また、介護老人保健施設での薬剤管理に関連しては、高齢者施設と薬剤師の連携は早急に実現する必要があると指摘。
介護老人保健施設で算定できる医薬品については、処方箋を交付した場合、技術料や指導料の取り扱いは明確ではないという問題があるとした。これはコロナ治療薬の処方にあたって浮き彫りになった問題であるとし、現在は医療保険の方で特例措置を設けていると説明。「コロナ治療薬以外の薬剤の対応について一定の整理が必要である」(荻野氏)と述べた。

【トリプル改定】薬剤師と特養の医師との連携の必要性主張/日本薬剤師会
【2023.08.07配信】厚生労働省は8月7日、「第221回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催し、令和6年度介護報酬改定に向けて議論した。この中で、日本薬剤師会常務理事の荻野構一氏は、特別養護老人ホームと介護老人保健施設における薬剤管理の課題を挙げた。
最新の投稿
【厚労省】次期調剤報酬改定へ「現在の薬局の立地に至った経緯」調査
【2025.07.10配信】厚生労働省は7月9日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催し、「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度調査)の調査票案」を提示した。次期調剤報酬改定議論の基礎資料となるもの。
【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ
【2025.07.02配信】奈良県議会は7月2日、奈良県議会本会議において「薬価制度の抜本的改正を求める意見書」を会派全会一致で採決した。
【2025.07.01配信】厚生労働省は7月1日、第7回「医療DX令和ビジョン2030」を開催し、電子処方箋普及の新目標を公表した。
【2025.06.29配信】日本薬剤師会は6月28・29日に第106回定時総会を開き、その中で岩月進氏が会長演述を行った。
【2025.06.26配信】株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋氏)の連結子会社である医療AIカンパニー、株式会社MG-DX(本社:東京都渋谷区、代表取締役:堂前紀郎、以下「当社」)は、薬局特化型の接客AIエージェント「薬急便 遠隔接客AIアシスタント」において、OTC医薬品の遠隔販売に特化した新たなシナリオを構築したと公表した。