【厚労省】「抗微生物薬適正使用協力金」の試行導入へ/「第1回抗微生物薬の市場インセンティブに関する検討会」で議論

【厚労省】「抗微生物薬適正使用協力金」の試行導入へ/「第1回抗微生物薬の市場インセンティブに関する検討会」で議論

【2023.03.29配信】厚生労働省は「抗微生物薬の市場インセンティブに関する検討会」を立ち上げ、3月29日に初回の会議を行う。継続的な新規抗微生物薬の開発のために抗菌薬の市場インセンティブにおいては、すでに令和5年度予算として、「抗菌薬確保支援事業」11億円を計上している。検討会では事業の目的達成への課題検討のほか公募要件を設定。上市後の当該抗微生物薬による収入額が一定額に満たない場合、その差額を「抗微生物薬適正使用協力金」として国が支援することの実現性などを検討していく。


 抗菌薬の市場インセンティブにおいては、すでに令和5年度予算として、「抗菌薬確保支援事業」11億円を計上している。
 市場インセンティブのモデル事業(企業が国の薬剤耐性対策(販売量の適正水準維持)に協力することで生じる減収に対して、一定額の収入を国が支援すると同時に、抗菌薬の開発を促す仕組み)を実施するもの。支援対象として、公衆衛生上脅威となる薬剤耐性菌の治療薬を選定し、日本における市場インセンティブの実現可能性を具体的に検証することを目標としている。抗菌薬の適正使用を保ちつつ、新規抗菌薬の開発を促進し、耐性菌の治療の選択肢を確保することに資することが目的。

 市場インセンティブの導入においては、抗菌薬の適正使用や研究開発促進が達成されるのかといった課題がある。企業への適切な報酬額の設定ができ、市場インセンティブの事業に参加するのかや、実現可能性も検討する必要がある。

 「抗微生物薬の研究開発における市場インセンティブに関する検討会」では、令和5年度から新たに開始する抗菌薬確保支援のモデル事業における公募及び評価等を実施。(1) 抗菌薬確保支援事業の公募に関すること、(2) 抗菌薬確保支援事業の評価に関すること、(3)その他抗菌薬確保支援事業に関することーーを検討事項とする。

 事務局は資料の中で方向性に関して、「対象抗微生物薬を開発し、同時に当該抗菌薬の使用実績を示し販売量を適正水準に保つ試みを実施した企業に対しては、上市後の当該抗微生物薬による収入額が一定額に満たない場合、その差額を『抗微生物薬適正使用協力金』として国が支援することを検討」と記載。
 「このため令和5年度から令和7年度において、日本における市場インセンティブの実現可能性を具体的に検討するため、緊要度や導入効果を考慮して抗微生物薬の範囲や対象薬剤を限定した上で、試行的に実施する」とした。

 検討会は令和5年4〜6月の間に公募要件を確定し、7〜9月の間に事業を開始。以降、事業1年目、令和6年に2年目を実施する見込み。

 抗菌薬をめぐるこれまでの経緯について事務局は、開発数が1980年代をピークに減少し、国内の抗菌薬の承認数は、1990~99年の27品目から、2010~19年には11品目にまで減少していることを指摘。さらに新規に開発される抗微生物剤には更なる薬剤耐性(AMR)を出現させないために適正使用上の規制がかかるため、製薬企業にとっては創薬に対する経済的利点が乏しい状況があると説明。
 継続的な新規抗微生物薬の開発のためには、研究開発への公的研究費による支援(いわゆる“プッシュ型インセンティブ”)に加え、魅力的な投資環境をつくり、新規抗微生薬が継続的に上市される環境を構築していくことが重要であり、企業の上市後の利益予見可能性を高めることで研究開発を進める動機付けを行う市場インセンティブ(いわゆる“プル型インセンティブ”) の導入が求められているとしている。
 国際社会の状況については、2021年の先進7カ国(G7)財務大臣会合において、関連する市場インセンティブの支援に特に重点を置きつつその幅広いオプションの検討など抗菌薬のインセンティブに関する議論を実施し、2022年の先進7カ国(G7)首脳声明においても、市場インセンティブを特に強調して新しい抗微生物薬の開発を奨励することととしており、 英国、スウェーデンでは、市場インセンティブが導入されているという。
 我が国においても、抗菌薬による治療環境を維持しつつ、国際保健に関する国際的な議論で主導的な役割を果たすため、市場インセンティブのモデル事業(企業が国の薬剤耐性対策(販売量の適正水準維持)に協力することで生じる減収に対して、一定額の収入を国が支援すると同時に、抗菌薬の開発を促す仕組み)を実施するために令和5年度当初予算案に「抗菌薬確保支援事業」として予算を計上していると説明した。

 検討会の構成員は以下で構成する。
大曲 貴夫氏 (独)国立国際医療研究センター 国際感染症センター長
北原 隆志氏 山口大学医学部附属病院大学院 医学系研究科臨床薬理学講座 教授
菅井 基行氏 国立感染症研究所 薬剤耐性研究センター長
高野 八百子氏 慶應義塾大学病院感染制御部 課長
本田 仁氏 藤田医科大学病院感染症科 教授
渡邉 治雄氏 国立感染症研究所 名誉所員(座長)
(50音順)

 また、参考人を以下とする。
小黒 一正氏 法政大学経済学部 教授
具 芳明氏 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 統合臨床感染症学分野 教授
白石 和泰氏 TMI 総合法律事務所 パートナー弁護士
平井 敬二氏 北里大学大村智記念研究所 客員教授

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