ドラマ「アンサング・シンデレラ」第3話、ドラッグストアの描き方に問題

ドラマ「アンサング・シンデレラ」第3話、ドラッグストアの描き方に問題

【2020.07.16配信】 薬剤師が主人公のドラマとして、薬業界内でも高い関心を集めているフジテレビのドラマ「アンサング・シンデレラ」。社会から薬剤師の役割について理解が広がるのではとの期待も高い。そんな中、同ドラマのホームページで公表されている第3話の説明の中で、ドラッグストアに関して、不適当な表現が問題になっている。


【2020.07.16配信】
 薬剤師が主人公のドラマとして、薬業界内でも高い関心を集めているフジテレビのドラマ「アンサング・シンデレラ」。社会から薬剤師の役割について理解が広がるのではとの期待も高い。

 そんな中、同ドラマのホームページで公表されている第3話の説明の中で、ドラッグストアに関して、不適当な表現が問題になっている。

 同ホームページでは、「第三話ゲストに、生徒思いの小学校教諭役で浅利陽介さんの出演が決定!」として、以下のように説明している。

 “7月16日(木)22時よりスタートする『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』、7月30日(木)放送の第三話に浅利陽介さんがゲスト出演することが決定しました。浅利さんが演じるのは、生徒思いで心優しい、萬津小学校の先生・新田奏佑(にった・そうすけ)。慢性糸球体腎炎の持病がある新田は、校庭を走っている途中に倒れ、萬津総合病院の救急に搬送されます。病院で意識を取り戻した新田は、処置中にもかかわらず、慌てた様子で帰ろうとします。倒れた原因も判明しないまま帰すわけにはいかないと、みどり(石原さとみ)が新田に入院するよう伝え、取り乱す新田をなんとか説得。みどりが新田に現在服用している薬について聞くと、大量の薬を服用していたことが判明。さらに新田に薬を渡している薬局『ナカノドラッグ』が、食前に服用する薬を食後のものとまとめていたり、本来やってはいけないような服薬をさせていることも…。みどりはその仕事の粗末さに怒り『ナカノドラッグ』に問い合わせると、無気力そうな男性に適当にあしらわれ、電話を切られてしまい…。”

 主人公は病院に勤務する薬剤師。ドラッグストア勤務の薬剤師との対比によって、主人公の熱心さを伝えたい、という趣旨なのだろうが、病院は丁寧でドラッグストアは粗末な対応、という固定概念を視聴者に植え付けかねない内容だ。こうしたレッテルを張るような手法自体が前時代的だ。

 最近、問題になっている市販薬の依存問題を取り上げたい気持ちものぞく。しかし、「『ナカノドラッグ』が、食前に服用する薬を食後のものとまとめていたり、本来やってはいけないような服薬をさせていることも…」という表現はいくらなんでも言い過ぎだ。

 ドラッグストア側が「食前と食後の薬をまとめ」たり、「本来やってはいけないような服薬をさせ」ることを、わざわざ推奨することはあり得ない。
 市販薬の依存、特に若い世代での問題には業界団体である日本チェーンドラッグストア協会でも、対応に尽力しており、国が定める以上の細やかな対応を自主基準として規定するなど、真摯に向き合ってきた。

 あるドラッグストア関係者は、この事態に大きな問題意識を隠さない。
 「ドラッグストアの薬剤師、スタッフもコロナの対応に追われて、今はストレスフルな状態にある人が少なくない。地域のために懸命に対応に当たった現場の職員が、このドラマを観たらどう思うかが、とても心配。『ドラッグストアは社会からこう見られている』と思うだろう。看過できない」と、憤る。

 ドラマはもちろん、フィクションだ。しかし、薬剤師が主人公である初のドラマとしての影響度の大きさなどを考えれば、もっと配慮のある描き方が必要ではないか。

この記事のライター

関連するキーワード


アンサング

最新の投稿


【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ

【奈良県議会】薬価制度の抜本的改正を求める意見書を採決/奈良県薬が働きかけ

【2025.07.02配信】奈良県議会は7月2日、奈良県議会本会議において「薬価制度の抜本的改正を求める意見書」を会派全会一致で採決した。


【厚労省】電子処方箋の新目標を公表

【厚労省】電子処方箋の新目標を公表

【2025.07.01配信】厚生労働省は7月1日、第7回「医療DX令和ビジョン2030」を開催し、電子処方箋普及の新目標を公表した。


【日本薬剤師会】定時総会会長演述/岩月進会長

【日本薬剤師会】定時総会会長演述/岩月進会長

【2025.06.29配信】日本薬剤師会は6月28・29日に第106回定時総会を開き、その中で岩月進氏が会長演述を行った。


【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【OTC医薬品の遠隔販売】支援システム構築へ/MG-DX社

【2025.06.26配信】株式会社サイバーエージェント(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田晋氏)の連結子会社である医療AIカンパニー、株式会社MG-DX(本社:東京都渋谷区、代表取締役:堂前紀郎、以下「当社」)は、薬局特化型の接客AIエージェント「薬急便 遠隔接客AIアシスタント」において、OTC医薬品の遠隔販売に特化した新たなシナリオを構築したと公表した。


【薬学生】薬局就職者、奨学金利用率は平均上回る39.7%/日病薬

【薬学生】薬局就職者、奨学金利用率は平均上回る39.7%/日病薬

【2025.06.25配信】日本病院薬剤師会は6月25日に定例会見を開き、薬学生の4・5・6年生を対象した調査を行った。その結果、奨学金を利用している学生は33.8%。就職活動終了者921人のうち奨学金の活用者は320人(34.7%)だった。うち、保険薬局への就職者では奨学金の利用率は39.7%で平均を上回っていた。