【日本保険薬局協会】HPKIカード以外にも柔軟なシステムを要望

【日本保険薬局協会】HPKIカード以外にも柔軟なシステムを要望

【2022.08.04配信】日本保険薬局協会は電子処方箋の開始を控え、要望書を佐藤英道厚生労働副大臣に提出した。HPKIカードに加え、各開設者の薬局システムによる薬剤師の認証を活用できる柔軟なシステム構成を要望した。


 要望書にはHPKIカードに関する現状と課題を記した文書も添付した。

 その中で、日本保険薬局協会はオンライン資格確認への早期の対応等医療分野におけるDXへの積極的な取り組み・協力を進めているとの前提を記述。

 その上で、各認証局HPの情報によるHPKIカードの発行費を記載。日本医師会会員は発行費、年間運用費、更新費(5年ごと)のいずれも「0円」。日本医師会非会員は発行費5500円、年間運用費0円、更新費5500円。
 日本薬剤師会員は6600円、年間運用費6600円、更新費0円、日本薬剤師会非会員は発行費8800円、年間運用費13200円、更新費8800円。

 協会には7万535人の薬剤師が勤務しており、年間のHPKIカードに要する費用は発行費6億2070億円、年間運用費9億3106億円と試算している。

 電子処方箋の運用においては受付や調剤時の電子認証及び署名にあたって、現時点ではHPKIカードを使用する手段のみに限られている。協会では、HPKIカードの取得・維持には多額の費用を要することが普及の妨げとなることへ懸念を表明した。

 一方、医療機関、医師側では電子カルテへのログインをもって資格確認を要さない方向が示されていることにも触れた。
 6月7日に閣議決定された規制改革実施計画には次のように記載されている。
 「電子処方箋の発行に必要な資格確認・本人認証の手段として、HPKIカード 以外にどのような方法があり得るか、医療機関による本人確認の活用やクラウド電子署名など幅広く、現場のニーズを踏まえて検討し、結論を得る。電子カルテにログインした際には、資格確認、及び本人確認の手続きを要しないこととする方向で検討を進めていく。」

 さらに協会ではマイナンバーカードとの関連にも触れ、「薬剤師資格は、令和6年以降マイナンバーカードに紐付けられると承知しているところ、マイナンバーカードに一元化すべきとの意見も」とした。
 
 協会は、薬局においてもレセコンや電子薬歴システムにおいて、開設者の責任で、薬剤師の資格確認・本人認証が可能であるとし、医療機関・医師側で検討されている事項は、薬局・薬剤師側においても担保が可能と主張。HPKIカードに加え、各開設者の薬局システムによる薬剤師の認証を活用できる柔軟なシステム構成とすることを求めている。

 加えて、HPKIの運用経費について、「公共料金と同様に、コストをベースとした透明な設定をお願いしたい」とした。

 このほかにも、オンライン資格確認を稼働したうえで、さらに電子処方箋のシステム対応にも協会加盟の薬局1万7186薬局において、66億5098万円(1薬局当たり38.7万円で試算=「薬生総発0630第1号_医療提供体制設備整備交付金の実施について」より)が必要となるとことや、電子処方箋のシステム対応に対する国庫補助率も大手チェーン (受付回数4万回/月以上)が1/5に対して、中小チェーン及び 個店が1/3と優遇されていることなどを指摘している。

 要望書では、HPKIの問題以外にも、改定や規制改革、物価高騰に対する支援などを記載している。以下の通り。

■要望書
 一般社団法人 日本保険薬局協会

 保険薬局に係る行政の推進に当たり、下記の事項について要望いたします。


1. 調剤報酬の次期改定に向けては、会社の規模や店舗の数ではなく、個々の薬局が 果たしている機能を評価する方向で、今回改定の影響も踏まえて検討していただきたい。

2. 2023年1月より、電子処方箋の運用開始が予定されており、薬局においては、システム改修に加え、薬剤師資格の確認ができる電子認証・署名への対応も必要となる。 そのため、多額のコストがかかる HPKI カードに加え、各開設者の薬局システムによる 薬剤師の認証を活用できる柔軟なシステム構成としていただきたい。

3. 規制改革実施計画により、薬局の調剤業務の一部の外部委託について検討するこ ととされているが、引き続き、医療安全の確保と患者の安心を守ることに重点を置いて 検討を進めるようお願いしたい。

4. 今般の水道光熱費や原材料費等の物価高騰は、全国の薬局にも大きな影響を及ぼしている。医療保険の公定価格による調剤においては、物価高騰の影響を価格に転嫁することはできないため、経営努力だけで対応することは極めて困難な状況である。
諸物価の高騰と新型コロナ禍においても、引き続き患者・利用者等へ安全・安心な質の高い薬局サービスが提供できるよう、物価高騰に対する支援をお願いしたい。

この記事のライター

最新の投稿


【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【規制改革WG】事前処方・調剤の質疑への回答公表/在宅医療における円滑な薬物治療の提供で

【2025.05.01配信】規制改革推進会議「健康・医療・介護ワーキング・グループ(第5回)」が5月1日、開催された。その中で令和7年3月14日に開催された「第2回健康・医療・介護 WG」に関する委員・専門委員からの追加質疑・意見に対する厚生労働省の回答を公表した。


【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【東京都薬務課】健康食品試買調査結果、79%が違反/効能効果の標榜に販売店のチラシなども注意

【2025.04.30配信】東京都薬務課は4月30日に定例会見を開き、都が毎年行っている健康食品試買調査の結果を説明した。124製品中、98製品、79%に不適正な表示、広告が発見されたという。医薬品的な効能効果の標榜を禁止している薬機法違反も多いが、景品表示法、食品表示法、特定商取引法などの違反も見られる、都では複数の法律で規制されている健康食品を取り扱う事業者に向けて講習会を開いており、講習会参加なども生かして法令遵守に取り組んでほしいとしている。


【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【厚労省_疑義解釈(その24)】DX加算のマイナ保険証利用率について

【2025.04.28配信】厚生労働省は4月25日、診療報酬改定についての「疑義解釈(その24)」を発出した。「医療DX推進体制整備加算」の施設基準の1つであるマイナ保険証利用率について回答。4月については在宅患者を分母から引いて構わないとしている。現在は通常の外来患者がマイナ保険証を利用した場合のみが反映されているため。5月以降については、居宅同意取得型のオンライン資格確認によるマイナ保険証利用件数が社会保険診療報酬支払基金から通 知するマイナ保険証利用率集計に含まれる予定。


【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【日本薬剤師会】電子お薬手帳ビューワー、他職種への周知を依頼

【2025.04.26配信】日本薬剤師会は電子おくすり手帳簡易ビューワーアプリ「e薬 SCAN」について、他職種への周知依頼を都道府県薬剤師会宛てに発出した。


【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【財政審】 後発薬調剤体制加算等、政策目標の達成状況を踏まえ「必要に応じ報酬体系の再編を」

【2025.04.23配信】財務省は4月23日に財政制度等審議会「財政制度分科会」を開催した。


ランキング


>>総合人気ランキング