【キリンHD】調剤薬局向けAI置き薬サービス開始/頻度低い調剤薬を小ロット販売

【キリンHD】調剤薬局向けAI置き薬サービス開始/頻度低い調剤薬を小ロット販売

【2022.04.26配信】キリンホールディングス(磯崎功典社長)は、調剤薬局向けの新規事業「premedi(プリメディ)」を4月26日(火)から首都圏を中心にテスト展開を開始し、1年間で100店舗の薬局への展開を目指す。食から医にわたる事業領域でイノベーション創出を目指す社内新規事業公募制度「キリンビジネスチャレンジ」から誕生した当事業の展開を通して、特に中小規模の調剤薬局の課題を解決するとともに、ヘルスサイエンス領域での事業成長を目指したいとしている。


必要性の高い医薬品をAIで予測することで、調剤薬局の課題を解決

 今回のサービス展開の背景として、同社では薬局業界の環境変化を挙げている。調剤薬局には日々さまざまな医療機関から患者さんが訪れるが、門前以外の医療機関から発行される処方箋もあり、普段は取り扱い頻度の低い医薬品が求められこともあると指摘。在庫がない場合は直ちに調剤ができないケースもあるが医薬品によっては緊急を要することもあり、薬剤師が他の薬局に赴き、在庫を調達するケースも日本各地で発生していると問題を挙げる。

 また、取り扱い頻度が低い医薬品は、適正な在庫を正確に予測することが難しいのが現状で、在庫を置いても処方されない場合も多く、薬局の経営を圧迫する余剰在庫になる可能性もあるとする。

 そこで同社は、患者さんに必要とされる医薬品を調剤薬局が余剰在庫を持たず安定して届することを助けるサービス「premedi」のテスト展開を開始。「premedi」の導入で、薬剤師の皆さんが医薬品の在庫管理にかける時間・手間を効率化することで、創出した時間を患者さんへのサービス向上につなげたい考えだ。

 「premedi」は、キリングループのマーケティングリサーチの知見を活用した独自のAI予測リコメンド手法で、各調剤薬局店舗が医薬品の在庫欠品リスクを減らし、適正な在庫管理を提案する置き薬サービス。調剤薬局から過去の出荷データを同社が受領し、取り扱い頻度は低いものの調剤の可能性のある医薬品をAIで予測して医薬品を約100種類提案するとともに、保管棚を貸し出す。また、医薬品は同社の販売パートナーが小ロットで販売し、調剤薬局に届ける。使用期限の近付いた医薬品は、販売パートナーが買い取ることができるため、取り扱い頻度が低い医薬品の欠品をローリスクで減らすことができる。なお、販売パートナーの買い取りは、別途定める条件を満たす医薬品に限る。

 同社は、「premedi」の展開を通じて調剤薬局・患者さんの課題解決を図るとともに、経済的価値を両立するCSV(Creating Shared Value)経営を推進していきたいとしている。

 事業概要は以下の通り。
1.サービス名 「premedi(プリメディ)」 https://premedi.kirin.co.jp/
2.提供元 キリンホールディングス株式会社
3.サービス内容 ・調剤薬局ごとに患者さんに必要とされる可能性が高い医薬品リストをAIが選定。そのリストを活用し調剤薬局にて、購入する医薬品を最終決定してもらう。
※ 医療用医薬品のうち、都度定めるリストに含まれる医薬品から選定
・選定した医薬品の保管棚を貸し出し。医薬品は販売パートナーから小ロットで購入できる。
・使用した分はオンラインで簡単に発注し、補充することができる。
・使用期限が近付いた医薬品は販売パートナーによる買い取りが可能なため、常に十分な期限のある医薬品を取り揃えることができる。調剤薬局は取り扱い頻度の低い医薬品の在庫リスクと欠品リスクを同時に減らすことができる。
※ 販売パートナーの買い取りは、別途定める条件を満たす医薬品に限る

【店舗設置イメージ】
※保管棚は形が変わる場合がある

https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2022/0426_01.html

 事業開発担当者は以下のようにコメントしている。
■キリンホールディングス ヘルスサイエンス事業本部 新規事業グループ 田中吉隆氏
“「premedi」を構想したきっかけは、友人の薬剤師さんとの会話でした。薬剤師さんが、患者さんの症状を確認しながら健康な生活を送るために多様な提案を行っていることに感動した一方、在庫管理作業に必要以上の時間が割かれるのは社会にとって大きな機会ロスだと感じました。薬剤師さんが本来の役割である患者さんへの対人業務に時間を割き、より働きがいのある環境が生み出せれば、患者さん、そして日本中を元気にすることができるのではないかと考えました。
「premedi」は、数えきれないほど薬局に通い、たくさんの薬剤師さんにご協力をいただきながら事業化することができました。私は薬局がこれからの日本の健康を牽引する中心地になることを確信しています。「premedi」を通じて、患者さんの笑顔と、薬剤師の皆さまの働きがいに貢献していきます。”

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