【スギHD】2022年2月期決算/売上+3.8%、営業利益−5.6%/調剤では対人業務強化へ

【スギHD】2022年2月期決算/売上+3.8%、営業利益−5.6%/調剤では対人業務強化へ

【2022.04.06配信】スギホールディングスは4月5日、2022年2月期の連結業績(2021年3月1日~2022年2月28日)を公表した。それによると、前期比は売上+3.8%、営業利益−5.6%などだった。


 スギホールディングスの2022年2月期連結業績(2021年3月1日~2022年2月28日)は、売上高6254億7700万円(前年同期比3.8%増)、売上総利益1914億9000万円(同5.4%増)、販売費及び一般管理費1593億5300万円(同8.0%増)、営業利益321億3700万円(同5.6%減)、経常利益330億8200万円(同6.4%減)だった。これに伴い、親会社株主に帰属する当期純利益は不採算店舗の減損損失56億2600万円を特別損失に計上したことにより、193億8900万円(同8.2%減)となった。

 同連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ワクチン接種率の上昇に伴い、経済活動が正常化に向かう動きも見受けられた。しかし、足元ではオミクロン株の感染急拡大によるまん延防止等重点措置の適用や原材料価格の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いている。
 ドラッグストア業界においては、調剤市場の拡大は継続しているものの、前期の食料品や日用品を中心とした需要急拡大からの反動減が見受けられた。また、マスクの常用や衛生意識の高まりによる化粧品・OTC医薬品の需要減少も長期化しており、異業種・同業種との激しい競争および薬価改定も相まって、経営環境は厳しさを増している。

 このような環境のもと、同社グループは、調剤領域の更なる拡大を目的に、新規開局を進めるとともに、調剤室や待合室の拡張改装、調剤利用率向上に向けた告知強化、かかりつけ薬局アプリのダウンロード促進、業務の機械化、薬剤師の積極採用・教育研修などに取り組んだ。物販領域においては、創業45周年を掲げ、取引先との販売促進活動を展開するとともに、将来の事業拡大に向け、出店・改装・リロケーションなどによる健全な店舗ポートフォリオの推進、One・to・One販促の実現に向けたデジタルCRM基盤の構築などに取り組んだ。
 生産性改善に向け、自動発注の対象範囲の拡大およびシステム改修による店舗作業の削減、人員配置見直しによる労働時間の適正化、お取引先との情報連携による製・配・販一体でのサプライチェーン全体の最適化などに取り組んだ。
 サステナビリティ経営においては、期首に設定したESGの各種重要課題(マテリアリティ)への対応を進め、関連リスクと機会の特定や対応策の検討を行った。また、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく開示・賛同表明を実施するなど脱炭素経営の推進、ジェンダーニュートラルや多様性をコンセプトとする化粧品や環境に配慮した包装紙を使用したエシカルな商品の開発などに注力。さらに、地域医療連携の深耕を目的に、全国最多の一般病床数を有する藤田医科大学病院をはじめとする複数の医療機関を関連施設として持ち、地域医療から先端医療まで幅広く展開する学校法人藤田学園と地域医療領域における産学連携に関する基本協定を締結した。

 店舗の出退店では、引き続き関東・中部・関西・北陸エリアへの出店に注力することで、112店舗の新規出店と20店舗の閉店、および157店舗の改装を実施。これにより、連結会計年度末における店舗数は1483店舗(前期末比92店舗増)となった。

「例年以上に厳しい調剤報酬点数・薬価の改定」

 今後の見通しについては、国内においては新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じつつ、
社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、持ち直しの動きが期待されるものの、ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクやそれに伴うエネルギー・原材料価格の更なる高騰などが懸念され、個人消費においては、依然として先行き不透明な状態が想定されるとする。
 ドラッグストア業界においては、各社の積極的な出店やM&Aにより業界内の競争が激しさを増すことに加え、例年以上に厳しい調剤報酬点数・薬価の改定が実施されるなど、業界を取り巻く環境についても、予断を許さない状況が続くと予想する。

 このような環境のもと、同社グループは、コロナ禍において変化した健康・予防意識の高まりや消費者の生活様式に対応した品揃え・店舗づくり、店舗の作業効率改善による顧客へのサービス向上、キメの細かい人員配置などに積極的に取り組むことで収益性の改善を図る考え。また、同社グループの創業来の強みである調剤領域においては、医療事務への対物業務の移管、薬剤師への教育研修、デジタルの徹底活用、医療機関との連携などにより生産性の向上と対人業務の強化に努める。
 このような取り組みを継続することで、次期の連結業績では、売上高6750億円、営業利益は300億
円、経常利益は310億円、親会社株主に帰属する当期純利益は180億円を見込む。
 
 2023年2月期を初年度とする中期経営計画を策定。中期経営計画では、2027年2月期までの5カ年を対象とし、創業来変わることのない理念である地域医療への貢献を目的としたトータルヘルスケア戦略の展開を核に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の展開強化、社会的価値と経済的価値の共存を目指したESGの推進、将来を支える人財の獲得・育成強化を通じて、持続的な成長を推進する。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、日本におけるサステナビリティの重要性を再認識させ、同社グループが取り組むトータルヘルスケア戦略の必要性を強く意識させるものとなったとの考え。この戦略に沿った取り組みを推進していくことが、顧客・患者、従業員、地域社会、投資家に対し、同社グループの価値を中長期間にわたって提供していけると確信しているとした。

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