レポートでは「箱出し調剤」について、「計数調剤」からの移行により、薬剤師を薬の取り揃えのような単純作業から解放し、その能力を十分に発揮できる体制の構築につながるものとして提言している。わが国の薬局のあり様はについて、薬局に20万人もの薬剤師が勤務し、医師の処方箋に従って薬を取り揃え、調剤に年間2.6兆円のコストをかける一方で、地域の健康相談の拠点という本来の機能が不十分であると指摘。国際的にみて特異であるとしている。
国際的な視点では、現在、わが国は計数調剤を採用しており、薬局では製薬企業が供給する医薬品の箱から処方箋で指定された錠数を取り出して、患者専用の薬袋に入れて患者に交付している一方、ヨーロッパをはじめ多くの国で箱出し調剤が採用されており、医師は箱単位で処方し、薬局では、患者に医薬品の箱をそのまま交付していると紹介。このように、仮に手作業であっても箱出し調剤は計数調剤よりもはるかに手間がかからないが、箱出し調剤を採用すると機械化を進めやすく、薬の取り揃えの作業はほぼ自動化できるとメリットを指摘。わが国の調剤コストの対 GDP 比は、箱出し調剤を採用するドイツやイギリスの 3 倍を超えており、その非効率性は明らかと分析している。
箱出し調剤への移行によるメリットについては、調剤の効率化が進み年間 1 兆円以上調剤コストの削減が期待されると指摘。加えて、薬局薬剤師が OTC 医薬品(市販薬)の販売など本来業務に取り組めること、トレーサビリティの向上や調剤ミスの削減、薬局での在庫廃棄の削減などのメリットもあるとした。箱出し調剤は課題やデメリットもあるものの、これらは対応可能であり、メリットに比べてはるかに小さいと考えられるとの考えも示した。
箱出し調剤への移行における課題については、製薬企業、医療機関、薬局の協力が必要であり、調剤業務
の効率化の恩恵を受ける薬剤師が旗振り役として期待されるが、効率化は調剤の報酬減少に繋がるため、薬剤師の職能団体としても進めにくい面もあると指摘。それでも単純作業は効率化して、OTC 医薬品の販売など薬学的専門知識を活かした本来業務に時間を割くことにより地域住民の健康増進に貢献してこそ、長期的にみて薬局の経営の持続可能性の確保と薬剤師の地位向上に寄与するとの見解を示している。
レポートの詳細は下記からダウンロードできる。
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=114507
【日本総研】「箱出し調剤」提言するレポート公表
【2026.07.10配信】日本総研調査部上席主任研究員・成瀬道紀氏は7月10日、『箱出し調剤で薬剤師を単純作業から解放を―調剤コスト1兆円削減と薬局薬剤師20万人の職能発揮へ向けてー』と題したレポートを公表した。
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