【東京都薬剤師会】日薬新体制へ、「是々非々で対応していく」/髙橋会長挨拶

【東京都薬剤師会】日薬新体制へ、「是々非々で対応していく」/髙橋会長挨拶

【2024.03.23配信】東京都薬剤師会は3月23日に臨時総会を開き、この中で髙橋正夫会長は会長挨拶を行った。


東京発災に備え1都7県の薬剤師会で協力

 東京都薬剤師会会長の髙橋正夫氏の会長挨拶は以下の通り。 

 東京都薬剤師会第104回臨時総会の開催にあたり、一言ご挨拶申し上げます。 初めに、元日に発生いたしました令和6年能登半島地震において亡くなられた方々にお悔やみを申し上げます。被災され、未だに避難所等でご不便な生活をされている方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 東京都薬剤師会では、発災翌日の1月2日に災害対策本部を立ち上げ、初期段階の情報収集に当たりました。この時点で、被災地までのアクセスには能登半島という地勢から大きな壁があることが判りました。8日に日本薬剤師会の災害担当役員より4泊5日での支援薬剤師班を2班、計6名の派遣依頼を受けて、10日から被災地に入りました。当初は様々な障害もありましたが、その後は1班3名での派遣を継続し輪島市において切れ目のない支援にあたりました。日薬からの支援終了の連絡を受け、3月1日に出発した第16班2名を以て、延べ47名の出動が事故もなく無事に終了いたしました。本会では、現地で活躍した2台のレンタカーの引き上げが無事に完了した翌日の3月12日を以て対策本部を解散いたしましたが、今後もできる限りの援助を行っていく所存です。また、会員の皆様には、出動にあたり格別のご尽力を賜り、さらに様々な後方支援をいただきましたことに、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

 一方、東京において災害が発生した状況を想定すると、東京に居る薬剤師のみでの対応はまず不可能です。関東平野を見据えて1都7県の薬剤師会では、災害時の相互の対応方法等を事前から理解しておくことで、迅速にスムースな支援・受援ができるように協議を行っております。 また、関東近県の薬剤師会との連携としては、本会の生進学修システムにおいても会員の研鑽に資するため、関東の1都3県の薬剤師会が、独自に作成したコンテンツ等を有効活用できるよう、県薬間での相互乗入の方法等について現在、模索しております。こちらについても、今後さらなる充実を図っていくよう努力してまいります。

不採算品の価格の引き上げで皮肉にも供給不足発生/卸理由で必要な医薬品が届かない矛盾に関係各所に申し入れ

 さて、間もなく医療・介護・社会福祉の同時改定が実施されます。先ず4月には、薬価の改定があります。今回は、先行きの見えない医薬品の供給不足に鑑み、不採算品の価格の引き上げも行われています。しかし、皮肉なことにこれが引き金となり、新たな供給不足も発生しており、医薬品の変更に関する一定の条件の下での疑義照会の簡素化などの早急な対策が求められます。

 また、夜間・休日対応を含む24時間対応が求められている状況にありながら、卸売業者における配送従事者不足や職員の労働時間の短縮等の理由により、必要な医薬品が届かないという矛盾について、それぞれの地域が取り残されることのないよう、関係各所に申し入れを行ってまいります。

医療DX、ランニングコスト負担が業務の妨げとならないように働きかけ

 さらに、様々に進んでいる医療DXについては、利用する関係機関の環境整備が整い、順調な運用が確約されたときに、医療並びに多職種の連携の姿は大きな情報と利点をもって進展していくことが容易に想像できます。しかし、システム導入から順調に稼働するまでには、現在の進捗状況からすると、相当の時間を要することは明らかでしょう。その間もランニングコストの負担は高み続けることとなり、体力のない中小薬局にはかなりの負担がかかります。この点についても街のインフラであるはずの地域の薬局が大きな負担を抱え、業務の妨げとならないように働きかけを行っていく所存です。

事業継承マッチング模索/日薬次期会長候補者選挙では都薬推薦の候補、「残念ながら及ばず」

  地域に根付いた薬局が街から無くなっていくことは、災害時に、その地域の初期の医療活動にも影響を与えることになります。事業後継者問題などで、M&Aや止む無く廃業という声を多く耳にしますが、一方、若い薬剤師の方々にとっては、地域の中で薬局を開いてみたいという希望やニーズがあります。そのような大志を持った方たちの夢とのマッチングを、現在、模索しているところです。 薬剤師として、首都であるメガロポリス東京という特殊な地域で職能を担っている皆様においては、全国一律の法律や考え方から様々な制度等が立案されていくことに疑問を持たれることがあると思います。わたくしもその一人です。地方のあるべき状況と大都市においての状況はまったく異なります。この点については、今後も、行政や日薬にもしっかりと主張してまいります。

  日本薬剤師会については、6月をもって、本会出身である山本会長が5期10年に亘って担ってきました会長職を退任されます。また、先日行われた次期会長候補者選挙では、本会推薦の候補が残念ながら及びませんでした。新たな体制の中では、東京都薬剤師会としての考えをしっかりと主張させていただき、是々非々で対応してまいります。 本日は、新執行部としての初めての総会となります。新たな役員の考えによる令和 6年度事業についてお諮りいただきます。ぜひ忌憚のないご意見を頂戴したく、よろしくお願いいたします。

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