【中医協_意見交換会】日薬森氏、終末期対応の薬局へ評価拡充求める

【中医協_意見交換会】日薬森氏、終末期対応の薬局へ評価拡充求める

【2023.05.18配信】厚生労働省は5月18日に「令和6年度の同時報酬改定に向けた意見交換会(第3回) 」を開催し。「人生の最終段階における医療・介護」などをテーマとした。この中で日本薬剤師会(日薬)副会長の森昌平氏は、終末期に対応する薬局は頻回訪問や夜間休日対応を行っているためかなりの負担が発生しているとし、「何かしらの配慮が必要と考える」と指摘。終末期に対応している薬局に対する評価拡充を求める考えを示唆した。


 日薬・森氏は「人生の最終段階における医療・介護」の現状に関して、近年、緩和ケアについては早期から積極的に使用することや患者が納得するレベルまで痛みが取れるよう使用するなど考え方が変化してきていることを指摘。医療用麻薬に対応できる薬局は、全国で約5万2000軒あるとも説明。医療用麻薬等については、現在、多種多様な開発が進んでいることもあり、多くの製品が販売されていることも指摘した。管理や流通に関しては、関係法令を重視する必要もあるとした。
 その上で、患者の状態変化に応じた情報共有の強化が必要と指摘。「特に高用量の注射薬が急に必要となったとしても必ずしもその時々に必要となるものが薬局に備蓄されているわけではなく、取り寄せるにも時間がかかることもある。そのため医療用麻薬等を適時・円滑に供給するためには医療機関等から薬局に対して緩和ケアを受ける患者に関する情報や状態の変化に応じた治療計画があらかじめ適切に共有されていることが必要」と述べた。

 また、終末期に対応する薬局の負担への理解を求めた。「終末期には患者の状態も刻々と変化するため、その対応のために頻回訪問も必要な場合があり、特に夜間休日の緊急時に対応するためには時間外対応の視点も重要。必要となる麻薬の備蓄や夜間休日対応は日頃から医療機関や訪問看護ステーション等の関係機関と連携しておくことで地域の薬局がいつでも円滑に対応できるようになるので連携体制の構築が不可決と考える。医療用麻薬の管理や調剤は法令上の規制を遵守しての対応が必要。その手間がかかるためこれを頻回に行ったり、夜間休日対応を行ったりしている薬局にはかなりの負担が発生している。このよう薬局について何かしらの配慮が必要と考えるため、今回の改定の議論ではそのあたりも含めて検討できるようお願いできればと思う」と述べた。

健保連・松本氏「専門医が薬剤師と連携して在宅でも疼痛のコントロールが適切に行われるようにする必要」

 健康保険組合連合会理事の松本真人氏は、本人の意思を共有する仕組みの議論が必要と指摘。「本人の意思に基づく医療・介護を提供するためにはICTを活用して救急現場を含めて関係者間で情報が共有される必要があるということはほかの委員からも意見が出ている。ただ、これをどんな形でどんな方法で、という仕組みの構築についてもっと議論する必要があると感じている」と述べた。
 その上で緩和ケアにおいては次のように述べた。「最後に緩和ケアの提供についてだが、専門医が薬剤師と連携して在宅でも疼痛のコントロールが適切に行われるようにする必要があると考えている」とした。

この記事のライター

関連するキーワード


中医協

関連する投稿


【中医協】日薬、「5店舗以下」薬局法人の経営苦境を主張

【中医協】日薬、「5店舗以下」薬局法人の経営苦境を主張

【2025.12.03配信】厚生労働省は12月3日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開催。各号委員から過日公表された医療経済実態調査(実調)の結果に対する見解が述べられ、日本薬剤師会は5店舗以下の薬局法人の経営が苦境にあることを主張した。


【中医協】日薬・森氏、後発薬加算「カットオフ値」の急減店舗の発生を問題視、対応求める

【中医協】日薬・森氏、後発薬加算「カットオフ値」の急減店舗の発生を問題視、対応求める

【2025.04.23配信】厚生労働省は4月23日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開いた。この中で日本薬剤師会副会長の森昌平氏は、後発医薬品調剤体制加算の要件である「カットオフ値」が急減している店舗があることを説明し、問題視。対応を求めた。


【後発薬調剤割合】「90%以上」の薬局が66.1%に/前年33.3%から倍増/中医協・診療報酬改定結果検証部会

【後発薬調剤割合】「90%以上」の薬局が66.1%に/前年33.3%から倍増/中医協・診療報酬改定結果検証部会

【2025.04.09配信】厚生労働省は4月9日、中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会を開催し、「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和6年度調査)の報告書案」について説明した。このうち、後発医薬品調剤割合について、「90%以上」の薬局が前年の調査から倍増していることがわかった。令和5年度調査では33.3%だったものが、今回の令和6年調査では66.1%となった


【リフィル処方箋】処方箋割合0.07%/令和6年7月時点/中医協・診療報酬改定結果検証部会

【リフィル処方箋】処方箋割合0.07%/令和6年7月時点/中医協・診療報酬改定結果検証部会

【2025.04.09配信】厚生労働省は4月9日、中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会を開催し、「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和6年度調査)の報告書案」について説明した。このうち、リフィル処方箋に関連して、リフィル処方箋の割合は令和6年7月診療分で0.07%だったとのデータを示した。


【リフィル処方箋】地域支援体制加算との関連データ提示/中医協・診療報酬改定結果検証部会

【リフィル処方箋】地域支援体制加算との関連データ提示/中医協・診療報酬改定結果検証部会

【2025.04.09配信】厚生労働省は4月9日、中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会を開催し、「令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和6年度調査)の報告書案」について説明した。このうち、リフィル処方箋に関連して、地域支援体制加算、およびかかりつけ薬剤師指導料との関連データが提示された。


最新の投稿


【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対

【ドラッグストア協会】かかりつけ薬剤師「在籍年数」延長に反対

【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。かかりつけ薬剤師指導料の要件見直しについても要望した。


【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」

【ドラッグストア協会】敷地内薬局「ただし書き」撤廃でも、「新規開局に限定を」

【2025.12.06配信】日本チェーンドラッグストア協会は12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定への要望を説明した。敷地内薬局について、施設基準において「ただし、当該保険薬局の所在する建物内に診療所が所在している場合を除く」という「ただし書き」を削除すべきとの意見が出ていることに対し、撤廃でされたとしても新規開局に限定すべきといった要望を表明した。


【ドラッグストア協会】敷地内薬局「連座制導入」なら「薬局事業撤退せざるを得ない」

【ドラッグストア協会】敷地内薬局「連座制導入」なら「薬局事業撤退せざるを得ない」

【2025.12.05配信】日本チェーンドラッグストア協会12月5日に定例会見を開き、調剤報酬改定要望をを表明した。その中で、敷地内薬局「連座制導入」なら薬局事業から撤退せざるを得ないなどと、強い抵抗感を示した。


【日薬】森副会長「基本料1の議論、手をつけること考えていない」

【日薬】森副会長「基本料1の議論、手をつけること考えていない」

【2025.12.03配信】日本薬剤師会は12月3日に定例会見を開いた。その場で中医協委員である副会長の森昌平氏は調剤基本料1を取り上げた議論に対して、日薬としては「対応は全く考えていない」と言及した。


【日薬】調剤報酬改定、「まずは薬局の維持を」

【日薬】調剤報酬改定、「まずは薬局の維持を」

【2025.12.03配信】日本薬剤師会(日薬)は12月3日に定例会見を開き、中医協での調剤報酬改定の議論について言及した。


ランキング


>>総合人気ランキング