【注目】あなたの知らない“くすり相談窓口業務(DI業務)”という薬剤師の働き方

【注目】あなたの知らない“くすり相談窓口業務(DI業務)”という薬剤師の働き方

【2022.10.03配信】薬局などの勤務とは違って、薬剤師がオフィスワークという働き方ができるのがEPファーマラインの展開している“くすり相談窓口業務(DI業務)”であり、同社では本業務に従事する有資格者を“メディカルコミュニケーター”という名称で呼んでいる。同社のくすり相談窓口業務(DI業務)は主に製薬企業からの委託を受け業務を行っており、ここ10数年でアウトソーシングが進んでいる業務の一つである。最新の医薬品情報に触れることもできるため、これまでと違った視点で経験を積みたいという薬剤師からの入社も増えている。同社ではどんな働き方ができるのか。同社の池田佳奈美社長にお話をうかがった。


EPファーマライン 池田佳奈美社長(池袋オフィス内の社員向け休憩スペースでもお話をうかがった)

“全国のDI”が経験できる

 インタビュー予定の部屋で、カメラをセッティングしながら社長を待っていると、小さなバッグをいくつか持って、優しそうな女性が入ってきた。
 最初はあまりの腰の低さにそうと気がつかなかったが、それがEPファーマラインの池田佳奈美社長だった。
 緊張しきりの社長を、同社の事業企画推進部の社員が励ましながらインタビューが始まった。
 「和やかな雰囲気の会社だな」というのがEPファーマラインの最初の印象だ。

 インタビューが始まると、そんな親しみやすい池田社長が、話に熱がこもって、雄弁になるのがメディカルコミュニケーターのやりがいについてだった。
 
 「おくすり相談窓口の業務について、お薬は化学物質だったりするわけですが、そのお薬が力を発揮するために、また、患者さんにとっての治療の選択肢になるためには、やはり適正使用の情報が必要です。おくすり相談窓口に届いた問合せに対し、お電話の向こう側の現場の薬剤師さんや患者さん一人一人の置かれている状況に合わせて適正使用情報を提供していくのがメディカルコミュニケーターであり、そこで『ありがとう』と言っていただけると医療に貢献できていると感じます。これは医療従事者が基本的に持っている、一番のやりがいの部分としてメディカルコミュニケーターにも共通していると思います」(池田社長)。

 熱がこもるのは、池田社長自身がメディカルコミュニケーター経験者であり、コールセンターを統括する責任者を務める中で、一昨年、社長に抜擢された経緯があるからだ。
 そんな社長のコンセプトからも、同社が重視しているのは「傾聴力」や「質問力」。「その方が本当に困っていることが何なのかを聞き出すための質問力が重要になってくると思っています」と池田社長。
 このあたりは、顔が見えるか見えないかの違いはあっても、薬局などで必要なコミュニケーション力と同様のスキルを身に着けることにもつながりそうだ。

 出来上がった情報を伝えるだけではない。同社ではノウハウも生かしながら製薬企業とともに製品に合ったFAQづくりから協力している。
 そのFAQも実際の問い合わせ内容を反映しながらリバイスすることもある。
 池田社長は「当社が製薬企業と医療現場の橋渡しの存在になれたらと思っています」と話す。
 実はおくすり相談窓口の電話番号は添付文書に記載されているため、7割が薬剤師からの問い合わせだという。向こうもプロであるため、質の高い回答が求められる。時には、夜間に救急で患者が飲んでいる医薬品に関しての問い合わせが入ることもあるという。責任は重く、それゆえにやりがいも感じる部分なのだろう。

 「問い合わせをされてきた薬剤師さんをはじめとした医療従事者の皆さんの先には患者さんがいます。それぞれの患者さんによって既往症や合併症も違います。その中で、いろいろなデータをご準備して、FAQを組み合わせながらベストな回答をご提供することに努めています。現場の方々はDI業務以外のタスクもたくさんあるので、私たちがそこを少しでもサポートできたらと思っています」(池田社長)

 メディカルコミュニケーター以外にもインタビューフォーム等の資材作成業務など薬剤師の経験を活かせる業務もある。

「一度、立ち止まってDIを勉強し直したい」と入社する薬剤師も

 現在、同社には薬剤師が485名在籍している(2022年10月現在)。DI業務は、東京・大阪・福岡3拠点で行っている。
 同社に入社してくる薬剤師はどんな人が多いのだろうか。
 池田社長は「医療現場の業務は忙しかったので、一度、立ち止まってDIを勉強し直したい、というお声を聞きます。それも、現場を離れすぎずにできたらという方も多いです」と指摘する。
 薬局では営業時間が終わっても、事務処理などで残業することがあり、なかなか自分の勉強時間を取ることができないケースがある。メディカルコミュニケーターは基本的に勤務時間が時間で区切られており、シフトを調整しながらチームで業務に当たるので、残業が発生しないようなシフトを基本として組んでいる。
 また、さまざまな疾患の医薬品情報に触れ、“全国のDI業務”を担っていることも、魅力と感じる薬剤師がいるという。

 たしかに「現場を離れすぎずに」という思いを持つ薬剤師も多いかもしれない。必ずしも定年まで同社で勤務をする薬剤師ばかりではないはずで、その時に薬剤師のキャリアパスの中で同社での勤務がどのように生かされるのかは関心のあるところだろう。池田社長は「今後の薬剤師の資質として問われる傾聴力は、DI業務と通じるところがあると思っています」と指摘する。

 一方、事業の堅実性はどうなのだろうか。
 池田社長は、コロナ禍などでリモートでの情報提供の必要性や価値が浸透したこともあり、変わらずに求められていく業務だと指摘する。さらに薬剤も個別化・高度化する中で患者さんに安心して継続服用していただけるよう、詳細な使用方法などをわかりやすく情報提供することは重要になっており、その面でも同社のDI業務の重要性は増していくと予想する。

社長自身がワークライフバランスを体現

 働き方を考える時、やりがいやスキル習得だけでなく、ワークライフバランスも重要な観点になるのではないか。
 その観点では同社は、太鼓判を押したい。
 なぜなら池田社長自身が、ワークライフバランスを体現してきたからだ。
 池田社長は同社に勤務する傍ら、ダンスに全力投球してきた人物で、時には海外に遠征することも少なくなかった。そんな自身の経験からも「自分の仕事以外で趣味や経験したいことも社員には大切にしてほしい」との思いを持っており、「プライベートが充実していてこそ、良い仕事にもつながると思っています」と話す。

 企業を選ぶ際は経営トップ、つまり社長の人となりや、抱いている理念が非常に重要であることは言うまでもない。そういう意味では、冒頭の「和やかな雰囲気」「ワークライフバランスも重視する」という部分でもうかがえる。池田社長について、社員からは「メディカルコミュニケーター経験者なので同じ目線で考えてくれるし、話しかけやすい」との声が聞かれた。また、社内には「目安箱」もあり、社内の問題に社長自ら向き合っている。

 最後に、池田社長は業界に貢献できる企業でありたいという理念を持っていることを紹介したい。
 「日本の薬剤師さんの底上げというと、おこがましいのですが、もっと勉強したいと思っている薬剤師の方々に機会の提供という意味で貢献できたらという思いがあります。そういったこともあって始めたのがオンラインで薬剤師のどなたでも視聴できる『薬剤師アカデミー』です。無料で月に1回開催していて、現場の薬剤師さんにとって、すぐに明日からでも役立つようなテーマを選んで実施しています。また、先ほど申し上げた製薬企業と医療現場の橋渡し役をここでも実現できたらという思いがあります」(池田社長)。

 薬剤師アカデミーは、同社のテーマ選定も時機にかなっていることもあり、1年ほど前から開始されたにもかかわらず、すでに累計で10,000人超の参加者を数える。満足度アンケートでは平均して97%がセミナーを受講して満足したと回答している(第1回~第10回のセミナー受講データより)。

同社では薬剤師のキャリア採用を積極的に展開している。  

下記サイトから、詳細確認・応募が可能だ。

https://www.eppharmaline.co.jp/rec_di/?utm_source=dgsonline202210&utm_medium=banner&utm_campaign=202210

「薬剤師アカデミー」については、下記バナーから確認・登録できる。

池田社長(池袋オフィス前にて)